貧乏ゆすりが健康に良いって本当? 医師「血流改善やリハビリに効果あり」 脳の活性化にもつながる可能性
周囲の人に疎まれがちな「貧乏ゆすり」。実は「健康」への効果もあるそう。災害派遣医療チームDMATにも所属している田北病院の整形外科医、富和清訓医師に聞きました。
大きく「血流の改善」「リハビリ効果」の2つに分けて説明します。
■血流の改善
第2の心臓とも呼ばれているふくらはぎ。貧乏ゆすりによって動かすことで血流の改善を促します。
座っている状態が続くと、下肢のむくみや静脈瘤、エコノミークラス症候群などのリスクが高くなります。最近ではコロナ禍で在宅勤務が増えたという方が多いと思います。通勤をしなくなった人が多いので、より注意が必要です。
同じ体勢をとるのがほんの数時間だったとしても油断は大敵。被災地でも避難所や車に避難していて、思うように体を動かせず、数時間でもエコノミークラス症候群になった例もあります。
そこで効果的なのが「貧乏ゆすり」です。脚には体の中でも大きな筋肉が集まっています。また、富和医師によれば血液は心臓から全身に送り出されますが、帰りは筋肉のポンプが大きなカギ。貧乏ゆすりで脚の筋肉を動かし、体の下から血を押し上げることが大事です。
貧乏ゆすりで、心臓に戻る血流が活発になると脳の活性化にもつながって、大きな意味でいえば、認知症のリスク軽減にも効果的な可能性があるそうです。
集中するときや勉強するときに貧乏ゆすりをする人は、自律神経の乱れを整えているという研究結果もあるとのことです。
■リハビリ効果
実は、変形性股関節症の症状緩和のカギとなります。
変形性股関節症は、高齢者に多い病気です。股関節の関節軟骨が減ったり、骨が変形したりして痛みが出てしまい、歩きにくくなってしまう病気です。症状が進行すれば、人工関節などの手術を受けることになります。
実は最近の研究で、貧乏ゆすりで小刻みに股関節を動かすことで、すり減った股関節の軟骨の代わりに繊維軟骨が作られて痛みや症状が軽くなることが期待できると分かってきました。
実際にリハビリの現場でも貧乏ゆすりが取り入れられています。ただ注意したいのが、すべての方が手術せずにこの方法で症状が緩和されるわけではありません。主治医と相談の上、適切な治療を進めることが必要です。
また、貧乏ゆすりをしているから健康に良い・悪いというわけではありません。
「貧乏ゆすりは、その人の体が自然と良い方向へ向かおうとしている証拠。無理に止めようとしなくて良いです」と、富和医師は話しました。