「ネタニヤフ首相が、戦争を理由に裁判を引き延ばし」ジャーナリスト語る 犠牲者増える緊迫の中東情勢
中東情勢の緊迫化を受けて、聖地・エルサレムでは何が起きているのか。ジャーナリストの西谷文和さんが3月に現地を取材しました。
礼拝所ではイスラエル軍が銃を持って警戒
西谷さんがやってきたのは、イスラム教・ユダヤ教・キリスト教の聖地として知られる「エルサレム」。町を歩くと、祈りの声が聞こえてきました。取材当時はイスラム教が集団礼拝をおこなう金曜日。イスラム教の礼拝所「アルアクサ・モスク」には大勢の人が足を運んでいます。
ジャーナリスト 西谷文和さん:
「イスラエル軍が銃を持って警戒しています。イスラエル軍が、何かありそうなので、警戒していますね。軍とお参りに行く人の緊張感。互いににらみ合いながら、金曜日を迎えています」
この日、礼拝所の周辺では大きな衝突は起きませんでした。
エルサレム旧市街を離れて、ユダヤ人が住む地域「パリ地区」に向かいます。ユダヤ人が住む地域では、イスラエルのガザ侵攻への抗議活動が行われていました。
「ガザ近郊でユダヤ人が殺された」市民が小競り合い
デモをする市民:
「殺害をやめろ、ガザの人々も人間だ!」
すると抗議活動の後ろである男が、戦争反対のプラカードを奪ってしまいます。さらに別の場所でもガザ侵攻をめぐって反対・賛成の市民で小競り合いが起きていました。
男性はガザへの侵攻に賛成する立場なのか、戦争反対を訴える女性に「こいつらはアラブ人と一緒。テロリストだぞ! 怖いぞ!」と言い放ちます。
男性:「ガザ近郊でユダヤ人が殺されたんだぞ」
戦争反対の女性:
「ガザの人たちは何人殺害された? 3万人よ!」
中東情勢の緊迫化を受けて、イスラエルではこうした衝突が日常茶飯事でした。
人質の早期解放とネタニヤフ首相の退陣求め、10万人がデモに参加
ジャーナリスト 西谷文和さん:
「ネタニヤフ首相自身が裁判を抱えていて、3つの汚職で大きな疑いをかけられ起訴されています。戦争が終われば裁判が始まって捕まる可能性が高い。戦争を続けることで引き延ばしをしていて、そのためにガザの子どもたちが殺されてしまう構図が見えてきました」
イスラエルでは、反戦への機運が高まっているといいます。
「ものすごいデモが起きています。先日10万人集まった、イスラエルの人口は日本の10分の1なので、日本でいう国会を100万人が取り囲んだ感じ。多くのユダヤ人は人質の早期解放とネタニヤフ首相の退陣を求めて、大規模なデモが起こっています。ネタニヤフ首相はだいぶピンチになっていると思います」
窮地に追い込まれたイスラエルのネタニヤフ首相。西谷さんによると、中東情勢の鍵となるのは、2024年11月のアメリカ大統領選挙といいます。ドナルド・トランプ氏はイスラエル寄りと知られています。アメリカ大統領が誰になるのかによって、中東情勢も動きそうです。