マイナ保険証、現場の医師「効果は薄い」と懸念 国は普及推進のため医療機関へ一時金支給方針
マイナ保険証の利用を増やすために、国はマイナ保険証の利用者を増やした診療所や病院などに対して、最大20万円の一時金を支給する制度を始めます。医療の現場ではどう捉えているのか。すぎとう歯科クリニックの杉藤庄平院長に話を聞きました。
マイナ保険証で便利さを感じている患者は少ない
――マイナ保険証の利用者を増やした病院などに対して、一時金を支給するという取り組みに関してどのように捉えていますか。
効果は薄いのではないかと思っています。あまり、マイナ保険証で便利さを感じている患者は少ないと感じています。
――ただ、現行の保険証はもうなくなることが決まっています。その結果が見えている以上なにか考えていかなければいけないのではないでしょうか。
我々としては、紙の保険証を従来通り残してもらい、マイナ保険証と併用するような形で進めてもらえるとありがたいです。
――「併用」が1つのポイントになりそうですね。今回、政府によるマイナ保険証の利用促進策について、医療機関側から患者に利用を呼びかけるのは、難しいのでしょうか。
声かけ自体は難しくありません。しかし利用者が一気に増えてしまうと、窓口が混乱する可能性があるので、少しずつ増えていく流れが良いと思います。
――12月に現行の保険証が廃止されてしまったら、どうなりそうですしょうか。
窓口は大混乱だと思います。
40代の患者「くせがついていない」
従来の保険証は12月2日に発行が終了しますが、3月時点のマイナ保険証の利用率は全国で5.47%、愛知では3.98%に留まっています。
愛知県あま市のすぎとう歯科クリニックでは、午前9時からの1時間で訪れた患者12人のうち、マイナ保険証を利用したのは1人。40代の患者は「くせがついていない。出してとも言われない」といいます。ただ、医療機関からの働きかけ次第では利用を検討するという声もありました。
――医療機関から声がけが増えたらどうしますか?
80代の患者:
「別に…変わらない」
60代の患者:
「マイナンバーカードのIDは『人には見せないように』と言われています。保険証として使うのは不安。自分にとって利益があれば変わるかも」
さらに「マイナンバーカードは持っていない。取得するのは腰が重い」という50代の患者もいました。