墓石減少でピンチの“老舗石材店” 起死回生の一手で作ったのは“石の器” 海外展開も
愛知県岡崎市で100年近い歴史を持つ、老舗石材店を継いだ四代目社長。伝統の石材加工の技術を生かした新製品を次々と打ち出し海外展開に挑戦しています。世界を狙う商品に迫りました。
一皿ずつ個性の違う天然石の器
岡崎市にある予約制イタリア料理店「コレドガーナ」。旬の食材をふんだんに使った色鮮やかで美しい料理が自慢です。オーナーのこだわりは器にもありました。
コレドガーナ 吉永慎太郎オーナー:
「天然の石を使った器をコースの中で使用しています。一皿一皿、個性が違うのですごくインパクトのある器です」
器は石の塊を削りだして作られています。花崗岩の一種、「鞍馬石」と呼ばれる石です。こうした石の器を考案したのが、岡崎市にある稲垣石材店の四代目、稲垣遼太さんです。稲垣石材店は創業1927年。石の仏像の彫刻からはじまり、灯篭の製作も手がけています。
石の皿をブランド化させた「INASE」
石都として知られる岡崎市。ただ墓石需要の減少で、最盛期約350軒あった市内の石材店は、現在100軒ほどにまで減っています。この状況を何とかしようと生まれたのが石の器です。石をブランド化して「INASE(イナセ)」と名付けました。100年近い歴史で培った石材加工の技術を使えば、四角・四面の石の塊もきれいに出来上がります。重厚感と高級感あふれる器が生まれました。
今はまだ会社の売り上げの1割程度ですが、やがては収益の柱に育てたい考えです。
稲垣さん:
「個人的には挑戦の意味も含めて2030年あたりまでには、全体の5割、半分の売り上げにいけたら良いな、と。本業の墓石と新しい『INASE』の部分。両方とも並び立つくらいになってくると次の100年に向けていい形に持っていけます」