日本酒造りのノウハウを数値化 デジタル化支援ツールで酒蔵を守れ 国税局が考案

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さまざまな業界で人手不足が問題となっていますが、日本酒造りの業界も例外ではありません。後継者不足から廃業に追い込まれる酒蔵が相次ぐ中、業界のピンチに救いの手を差し伸べたのは国税局でした。

名古屋国税局が手がけたデジタル化支援ツール「もろみエール」

小町酒造を訪問した名古屋国税局の田中淳さん

名古屋国税局の田中淳さんがやってきたのは、岐阜県各務原市の小町酒造。「もろみエール」と呼ばれるデジタル化支援ツールについて説明をするために訪れました。もろみエールとは、名古屋国税局が考案した酒造りのデジタル化支援ツールのことです。

日本酒のデータをもとに作成

もろみエールは新酒の香りや味わいが評価される「鑑評会」で優秀な成績を収めた日本酒のデータをもとにつくられました。田中さんの訪問の理由は税務調査ではなく、「酒造りのコンサルタント」でした。

発酵度を表したグラフ

例えば画像のグラフでは縦軸が発酵度、横軸が仕込みの日数です。グラフの赤色部分にあれば「発酵が遅すぎる」、青色部分にあれば「発酵が早すぎる」。ちょうどこの間を通っていれば合格です。

国内の酒蔵は10年で100件以上減少

小町酒造 五代目蔵元 金武 直歩さん

小町酒造 五代目蔵元 金武 直歩さん:
「酒造りのノウハウが数値化できれば、それを社内で共有しやすくなります。私に何かあったら、次つくる若手は私と同じ酒を作るのは非常に難しいと思います。うちのブランドを守るために再現性のあるデータが必要」

国内の酒造の数と清酒の酒税課税額

国税庁によりますと、日本酒離れや後継者不足などから国内の酒蔵は、この10年で100件以上減っています。それに伴って、右肩下がりなのが清酒の酒税収入です。酒蔵の廃業に歯止めをかけたいというのが国税庁の本音です。

名古屋国税局 田中淳さん:
「これまで経験に頼っていたところを、実際のグラフや数字で確認できるようにします。そういった取り組みをもっと進めていくのが(酒蔵の支援に)必要だと考えています」

福井酒造

豊橋市の「福井酒造」では実際に、「もろみエール」を活用しています。創業明治45年、原料の米にこだわった日本酒をつくり続けていますが、技術の伝承が課題に。現在の杜氏は、中国人の王さん。日本で酒造りを学んで20年のベテランですが、若手にその技術を伝えるのは難しいと話します。

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