日本酒の海外人気はユネスコの無形文化遺産登録でさらに過熱か アメリカ、中国への輸出が特に伸びる
海外での日本酒事情について、愛知県酒造組合の山崎裕正副会長に話を聞きます。
―――今、海外で日本酒人気が高まってきていますが、なぜでしょうか。
平成25年に和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたことによって、世界中で和食が認知されて日本食レストランというのが世界中で増えています。それに伴って、日本酒の輸出量も増えているというのが現状だと思います。
―――一方で、皮肉なことに国内では「日本酒離れ」なんてこともいわれていますが、どのように感じますか。
ここ3年ぐらいは新型コロナウイルスで厳しかったのは当然です。しかしそれ以前から、日本酒の消費量については年々減少しています。将来的にも、これから人口も減っていきますし、酒類の多様化や若者のアルコール離れもあって国内市場は大変厳しくなっていくのではないかと思います。
「獺祭」は中国などのアジア圏で人気が高い
―――日本酒の輸出量が増えているというのは、業界のみなさんにとっては明るい話題ですよね。
これはとてもありがたく、明るい話題です。将来的にも、伝統的酒造りがユネスコの無形文化遺産に登録される予定なので、登録されればより追い風にはなるかなと思います。
―――具体的には海外のどんなエリアで、どのようなお酒が人気になっていますか。
海外輸出は世界中にされていますが、圧倒的に多いのがアメリカと中国ですね。私のイメージですが、日本で人気のあるお酒はアジア圏でも人気になると感じています。有名な銘柄で考えると、山口県に「獺祭」というお酒がありますが、こちらも中国をはじめとしたアジア圏ではとても人気があると思います。
一方でアメリカに関しては、有名銘柄よりもアメリカで地道に一生懸命営業された酒蔵のお酒が認知されているというイメージがあります。
海外営業ができる体制づくりが重要に
―――愛知県のお酒は、海外でどのような認知度や販売状況にありますか。
愛知県のお酒はおそらくまだまだ認知度が低いです。とはいえ、酒蔵のみなさんは力を注いで進めていると思うので、販売の数量が増えてきているのではないかと推測しています。中国ではかなり日本酒の販売数量が伸びていると思います。
―――中国は日本で人気のお酒の販売が好調とのことで、そういった背景が愛知県のお酒にも適用されていますか。
そこに関しては、中国自体での日本酒人気が高まっています。それに伴って、愛知県に限らず全国的にたくさんの日本酒が中国に渡っていると思います。
―――海外で愛知県のお酒の認知度を高めるためには、何が課題になっていますか。
愛知県として、あまり海外に対する営業活動のようなことをしていないので、愛知県酒造組合や県として海外の展示会に出るなど、海外営業ができる体制をつくれると良いかなと思います。
※「崎」は正式には「たつさき」