手を触れずに魚を捌く伝統の儀式 将軍の料理番に連なる第十六代家元が復活させたのは、にぎり寿司の原型

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「野菜の剥きもの」は美しい芸術作品

すずめ山椒焼き

そんな入口さんは庖丁儀式以外にたくさんのスゴ技を持っています。そのうちの1つが「野菜の剥きもの」。「羽衣と宝船 小鯛船盛り」や「すずめ山椒焼き」など、刃物で彫り上げたとは思えない素敵な剥きものの数々は、息を呑むほどの美しい芸術作品です。こうした数々の功績が認められ、黄綬褒章も受章しました。

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入口さんが復活させたにぎり寿司の原型「尾州早すし」

尾州早すし

そんな入口さんを中心に復活させたのが、江戸時代に出されたにぎり寿司「尾州早すし」。酒かすから生まれた安価な酢「粕酢」を使った赤い酢飯と、現代の寿司の3倍もの大きさが特徴です。

江戸時代の寿司は超塩辛い!?

半田は「粕酢」が生まれた場所。粕酢により安価な酢が全国に広まったことで、現代のにぎり寿司にも通じる早すしが生まれたといわれています。ちなみに「尾州早すし」の味は今の寿司に比べるとかなり塩辛いとのこと。入口さんいわく、「文献のまま再現すると食えないほど塩が入っている」とのことで、これでも塩分が控えめになっているといいます。

「おいしいと思って食べないで」と語る大将

その塩辛さは、実際に店で提供している寿司屋の大将も「おいしいと思って食べないでください」と言ってしまうほど。裏を返せば現代の寿司がどれだけ洗練されてきたのか、よく分かると入口さんは話します。

あえて昔のままに再現された「尾州早すし」を食せば、日本料理の歴史と伝統が垣間見えるかもしれません。

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