「離陸まで5分」戦闘機のスクランブル発進 猛ダッシュの合図は飛行管理員の叫び声 航空自衛隊に密着
けたたましいサイレン音が鳴り響き、パイロットたちが戦闘機へと駆け出していく。動き出す機体、ジェット噴射のすさまじい風圧に取材班の顔がゆがむ。緊急事態、発生か? と思いきや、なぜか滑走路をグルっと1周して戻って来た。
隊員:
「デモスクランブルと言ってスクランブルのための訓練です。基本的には離陸まで“5分”という基準でやっています」
日本の領空に不審な航空機が現れた際、戦闘機は緊急出動する。それが“スクランブル発進”と呼ばれるもの。近隣諸国の軍事活動が活発化し、近年その回数は増加傾向にある。1分間に約20kmも接近する不審機への対応は、まさに時間との戦いだ。だからこそ、パイロットたちは24時間体制で万が一の事態に備えていた。
スクランブル発進に備える“アラート待機室”
取材したのは航空自衛隊・小松基地。ロシア、北朝鮮、中国に面した地政学上最も重要な基地の1つで、日本海側で唯一、F15戦闘機部隊を持つ。万が一の事態にどのように備えているのだろうか。
案内されたのは“アラート待機室”、戦闘機乗りが待機する部屋だ。リラックスできそうな背もたれの高いチェアが2脚置かれている。そこに2人のパイロットが控えていた。
スクランブル発進の鉄則は2機で飛び立つこと。「リーダーパイロット」と、補佐的な役割を担う「ウイングマン」がペアを組む。交代は12時間ごとだという。
リーダーパイロット:
「やっぱり飛ぶ時に命を預ける仲間なので、よく話をしてよく聞いてというところは心がけています。あと夜とかね、飲みに行ったりとかして仲良くなるように」
ウイングマン:
「今、観賞魚の飼育方法を先輩から教わっています」
普段から信頼関係が欠かせないのだ。このアラート待機室に、スクランブルの指示はどのように下るのだろうか。