カリモクの人気シリーズ「HARU」 細くて形が不規則な「小径木」を有効活用してSDGsに取り組む
創業80年を超える高級木製家具メーカー「カリモク家具」。ソファや食器棚など多くの家具を製造しています。カリモク家具が手がける「HARU」シリーズには、一般的な天板に使われる木材とは異なる「小径木」を使用しているといいます。森林保全に寄与するカリモク家具の取り組みに迫りました。
小径木とは一般的に太さが直径20センチ程度の木のこと。小径木の板材は一般的な板材と比べて幅が狭く、形が不規則です。曲がっているなど幅の狭い材料は加工の手間がかかるので家具に向きません。節がある場所も避けて取らなくてはならないのです。そのため製品化は簡単ではありませんでした。
林業の活性化と森林保全
テーブルの天板は板材を加工し貼り合わせて作ります。小径木の天板はほかと比べると貼り合わせる数が多く、手間と時間がかかります。カリモク家具はなぜ手間がかかる小径木を使うのか。目的は2つありました。
1つめは「林業の活性化」です。小径木の用途は、ほとんどが単価の安いチップや固形燃料の原料。カリモク家具では14年前から、国産の小径木を使った家具の販売をスタートしました。小径木を家具の材料として取引し、安いチップよりもその価値を高めています。
また、カリモク家具の常務取締役・山田郁二さんは人手不足も大きな課題になっていると言います。林業従事者は40年ほど前と比べると3分の1に減少。「収益が低いと若い方々が職場として選んでくれません」と話します。
そこで本来はパルプ用材の単価で買っていた板材を、家具用の単価で購入。林業従事者が経済的に豊かになるよう試行錯誤しました。