「回転ずしコンベヤー」が外食産業の人手不足を解決 ラーメン、イタリアンなど多角的に展開

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子どもから大人まで、幅広い世代に愛される「回転ずし」。すしコンベヤーの6割は、石川県のある企業が作っています。なぜ、そんな圧倒的なシェアを持っているのか、その理由を取材しました。

すしコンベヤー最大手「石野製作所」の工場へ

金沢市はすしの外食支出額が日本一

金沢市はすしの外食支出額が日本一です。すしを運ぶコンベヤーの9割近くは石川県で作られています。

香港向けのコンベヤー

すしコンベヤー最大手「石野製作所」の工場をのぞいてみました。

石野製作所 小田初義常務:
「タイで利用する機械です。ツノが3本になります」

中国の香港向けの機械はコンベヤーが回る出っ張り(ツノ)が3本。席数228の大型装置です。香港向けはツノが4本、204席です。店の形に合わせて1つ1つ設計。デザインや機能など回転ずしチェーンの要望にも細かく対応します。

グループ売上高は約90億円

1974年にコンベヤー本体の製造もスタート

国内大手5社のうち4社と取引があり、国内シェアは6割を占めます。回転ずし業界に参入するきっかけとなったのが、初号機のコンベヤーです。

1970年の大阪万博を機に回転ずしがブームに。1971年、石野製作所は業界初の自動給茶装置を開発。1974年にコンベヤー本体の製造も始めました。

古い皿をはじき出す鮮度管理ステム(特許出願 2000年)、席まで直接届ける特急レーン(特許出願 2002年) 省力化をテーマに業界初を次々と商品化、ニッチ分野のガリバー企業に成長しました。

グループ売上高は約90億円です。

迷惑行為対策のカバー付き装置

日本経済新聞社 金沢支局 佐々木たくみ記者:
「回転ずし市場は新型コロナ禍や、客の迷惑行為を経ても成長を続けています。魚介類や人件費が高騰するいま、装置の重要性は一段と増しているといえます」

いま売り出し中なのが、迷惑行為対策のカバー付き装置。業界の課題の変化にも素早く対応します。

小田常務:
「新しい歴史をつくるため奇想天外なことも含めて挑戦する。運べるものはなんでも運ぶ」

課題は販売先の多角化でした。

店員を1人や2人減少させることに成功

コンベヤーで運ばれてきたラーメンセット

石川県発祥の8番ラーメンでは、コンベヤーを導入して人手不足解消に役立てました。地方では働き手不足が深刻化する中で、2023年8月に改装に合わせてコンベヤーを取り入れました。すると、店員を1人ないし2人に減らすことに成功。ラーメンセットは重さ1キログラム以上なので、配膳の負担が減り、女性や高齢者も働きやすくなります。

ハチバン マーケティング室長 増田 憲泰さん:
「大型店舗を中心に改装や新規出店の際に、自動レーンの導入を進めていきたい」

すし業界以外の販売比率を10%から30%に増やす

石野製作所は焼肉やイタリアンにもコンベヤーを販売。すし業界以外の販売比率を10%から30%に増やすのが目標です。食器を下げるコンベヤーなど、さらなる省力化も提案しています。

石野製作所 社長 石野 晴紀さん:
「皆さん、人手不足に悩んでいます。我々はものづくりを通してお客様のお悩みを解決する役に立てればと思っています」

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