「死んじゃダメ」は禁句 自殺者に寄り添うゲートキーパーの役割とは 地域の困っている人を受け止める力に

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減少傾向にあった全国の自殺者数の推移。しかし2019年のコロナ禍以降は、増加に転じています。この傾向は愛知県でも同様に起きており、人との接触の機会が減ったことなどが原因の1つとされています。

自殺を未然に防ぐ存在として期待されているのが「ゲートキーパー」です。ゲートキーパーが果たす役割や必要な知識について、愛知いのちの電話協会の兼田智彦さんに話を聞きました。

精神科の医師やカウンセラーにつなげる

ゲートキーパー

愛知いのちの電話協会 評議員 兼田智彦さん:
「地域で孤立して、周りの方ともお付き合いのない方が、悩みをたくさん持っているはずです。そういった方に声をかけるのが第一の仕事だと思います。とにかく話を聞いて、専門家が必要ならつながなければいけません。精神科の医師やカウンセラー、福祉分野の場合もあるので、そういった情報はゲートキーパーとして知っていないといけないと思います」

「死んじゃダメ」は禁句

死んじゃダメ、アドバイス、叱咤激励は禁句

兼田さんはゲートキーパーの注意すべき点として「悩んでいる人の気持ちを受け入れてあげることが必要。アドバイスはいけない」と話します。

「話を聞くことが一番大事です。話を聞いたら余計死にたくなってしまうのではないかと思う方もいます。そうではなくて、話せば気持ちは楽になります」

また、ゲートキーパーの禁句についても語ります。

「『死にたい』という方がいた場合、『死んではいけない』と言ってはいけません。その方には死にたいという気持ちがあるので、その気持ちを受け入れてあげることが必要です。論争にならないことが大事です。

次に『アドバイスをする』こともいけません。自分の人生経験でこのようなことがあった、だから今のあなたは大したことはない、というアドバイスも良くないです。そして『叱咤激励』もダメ。がんばりなさい、と言うのも良くないということを気をつけないといけません」

さらに兼田さんは、ゲートキーパーの存在は地域社会のさまざまな分野で効果をもたらすと言います。

「自殺の問題だけではなく、子育て支援や障害者支援など、さまざまな問題に役立つと思います。人の話を正しく聞くことができる人が地域にいることは、すごく大事なことです。今の日本は地域社会や地域の活動があまり活発ではなく、困っている方を受け止めて、生活を支えることが難しくなってきています。公的な機関が行っていますが、もともと、地域は支える力を持っているはずです。しかし人材がいないと難しいので、ゲートキーパーのような方に自分の力を発揮していただき、活動していただけると地域社会が人を支えられるようになると思います」

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