人手不足が深刻な「建設業界」 救世主として現れたのが1人の専業主婦 きっかけは「友人の相談」

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人手不足が深刻な建設業界。その救世主として現れたのが、1人の専業主婦でした。

現場で撮影

建設から40年以上を経たトンネルの壁を叩く作業スタッフ。「内部の鉄筋が腐食、膨張してコンクリートの表面が落ちてきている」と話します。

修復の必要な場所を見つけ、傷の種類や大きさをチョークで記入。カメラで撮影していきます。

欠陥をAIが認識して修復が必要な場所を図面に示す

そしてスタッフが戻ってきたのは、福岡市にある「オングリットホールディングス(HD)」です。現場で撮影した写真をシステムに読み込ませます。すると、独自のソフトが20枚の写真を1枚の図面に合成。ひび割れや漏水など欠陥をAIが認識し、修復が必要な場所を図面に示します。以前は写真に撮ったトンネルの傷を、手作業で図面に反映していました。

オングリットHD 時啓人さん:
「丸2日は作業にかかっていました」

今のシステムにより、業務量を8分の1に削減。誰でもできる仕事を増やし、建設業の専門知識がない人も呼び込みました。

オングリットHD 森川 春菜社長

オングリットHD 森川 春菜社長:
「未経験者の方に仕事をしてもらい、新たな雇用をどんどん作っていけます」

2018年に会社を立ち上げるまでは専業主婦でした。起業のきっかけは約10年前。友人が突然シングルマザーになり、働ける場所が少ないと聞いたことから始まりました。

一方で、ゼネコンで働いていた夫の歩さんからは「建設業界は人が足りない」とよく聞いていました。

森川社長:
「働きたくても働けない人と建設業界の人手不足を、誰でも使えるツールがあることによって、互いの課題をマッチングできると考えました」

建設業の就業者

歩さんがプログラムの基礎を作成。ひび割れの写真4万点を4年がかりでAIに学習させ、図面作成ソフトを作り上げました。今では歩さんも一緒に働き、従業員は50人に拡大。約4億円の出資を集めました。インフラの維持には30年間で最大195兆円がかかる見込みです。一方、建設業界で働く人は減っています。

日本経済新聞社 兼谷 将平記者:
「これまでのAIを使った仕事の効率化と違い、業界の外からも人を呼び込むことができるため、人手不足で悩むあらゆる業界に解決策のヒントになると思われます」

取り組みは次のステップに。修復用の図面をより簡単に作れるように研究を進めています。

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