名古屋の地下鉄「定期券の負担が増える可能性も」 桜通線の減便、今後の行方は 専門家に聞く

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名古屋市の地下鉄桜通線が9月16日からダイヤを改正して運行本数を減らします。減便による市民への影響はどれくらいあるのか。そして、今後の名古屋の地下鉄はどのように変化するのか。鉄道ジャーナリストの梅原淳さんに話を聞きました。

――地下鉄桜通線の運行本数が、平日は32本、土日祝日は10本減らすとのことですね。市民への影響はどれくらい考えられますか。

大きく影響があると思います。ただ、減便になる時間帯が、平日では日中の時間帯で、この時間帯はお客さんの量が低調です。一部の列車は“空気だけ”を乗せているような状態なので、やむを得ないかと思います。

――桜通線を利用する人数と本数のバランスに偏りがある、ということでしょうか。

お客さんの数に応じた列車の本数に調整されると思います。

定期券の割引率が下がる可能性も

名古屋市営地下鉄の経営状況

――名古屋市営地下鉄の経営状況は、3年連続の赤字の見通しです。過去の損失額が積みあがった赤字額は、今年度予想で2072億円とのことです。今後、運賃が上がる可能性はありますか。

名古屋は非常に大きな都市なので、地下鉄の利用者が全くいなくなったり、半減したりすることはないかと思います。しかし長期的に見ると、少子高齢化も深刻な問題です。

一般的な乗車券の価格を上げなくても、例えば全体の6割くらいを占める「定期券」の利用者の負担は多少増えるかもしれません。定期券はかなり割り引いているので、その割引率を少し下げることは考えられます。

――定期券の割引率を減らすことで、赤字を穴埋めできる可能性があるんですね。

現在の名古屋の地下鉄の定期券は37%ほどの割引率ですが、今後は1%や2%など引き下げるだけでも、大きな収益向上につながります。これはやむを得ないと思います。

時間帯によって運賃を変えるのも対策の1つ

梅原淳さんに聞く「今後考えられる対策」

――運賃など不便さを感じさせずに赤字体質の改善につなげる良い方法はありますか。

利用者が減ったとはいえ、桜通線は朝夕のラッシュはあります。以前ほどではありませんが、定員以上に乗客がいるのは大変です。今後の世の中の流れとして、ラッシュ時の混雑をなるべく軽減することが良い対策かと思います。時差通勤を皆さんに求めるだけでなく、時間帯によって運賃を変えるのも対策の1つです。これはすでに東京メトロやJR東日本などでも採用は検討されています。ラッシュ時のピークは定期券の運賃を上げ、逆にオフピークとなる閑散時の日中は割引いたりするのも良いかと思います。

鉄道会社の収入は変わらなくても、ラッシュに備えた多額の投資をしなくて済みます。車両をたくさん用意したり、人員をたくさん配置したりをする必要はなくなるので、鉄道会社の経営がやりやすくなります。そしてお客さんも快適に利用できます。今後はこうしたことを検討していく必要があると思います。

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