マイナンバーカードの自主返納が増える理由 専門家「問題の原因を考えるべき」法制度上では任意

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マイナンバーカードの自主返納が増えています。なぜ増加しているのか、名古屋大学大学院教授でマイナンバー制度に関する研究を行う稲葉一将さんに話を聞きます。

メリット・デメリットを慎重に検討できていたのか

稲葉一将さん

――マイナンバーカードの自主返納を行う人が増えているという報道があります。なぜこのようなことが起きているのでしょうか。

法制度では、返納はいつでも任意でできますので、その人の意思表示になります。それぞれがどのような考えなのかは、もちろん分かりませんが、例えば保険証だと現場で資格確認がうまくできなくなり、患者と病院のどちらが負担をするのかというトラブルが起きています。

そうなると、不安感が現実のものになって返納をする、という判断になったのではないかと思います。

――マイナンバーカードを返納する人が増えてしまうと、この制度自体に影響や問題はないのでしょうか。

現状がなぜ起きたのかということを考えるべきだと思います。これまでの審議やさまざまなメリット・デメリットを慎重に検討できていなかったため、このような現状になっているのではないかと思います。原因を考える方が良いと考えています。

法制度上では「任意」

――具体的にはどのようなことが原因だと考えていますか。

法制度上はマイナンバーカードは申請も返納も「任意」になるので、取らないだけで不便になることは本来あってはいけないわけです。任意という言葉は「その人の意思に任せる」ということなので、意思に任せたのにマイナンバーカードを持っていないと不便になったり、料金が増えたりするというのは、その人の意思に任せていることにならないのではないかと思います。

そのため法制度が任意にしているということの意味を、よく考えるべきだと思います。

――どのようにすれば、この問題を解消できるのでしょうか。

国民主権という難しい言葉もありますが、私たちが主権者なので、私たちの意見をきちんと反映して、制度をつくるべきだと考えています。本来であれば、国会がその場になるのではないかと思います。

――マイナンバーカードの運用は始まっていますが、その前に立ち返って話し合う必要がありそうですね。

問題が起きていることの原因をしっかりと考えなければと感じます。過去を振り返らなければ未来もないので、今は良い機会なのではないかと思います。

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