「シャボン玉石けん」が森林火災の消火に挑む 消化後の環境にやさしい「石けん系消火剤」を開発
温暖化などの影響で、日本だけでなく世界的にも森林火災が増加しています。火災を少ない水で消火するための消火剤を、環境に優しい石けん系の原料で作り続けている企業に迫ります。
環境に優しい石けん系消火剤の特徴とは?
日本各地で大規模な山火事が相次ぎ、甚大な被害をもたらしています。雨不足や温暖化が要因とされ、こうした火災は世界でも深刻化しています。世界での森林焼失面積は、20年前の2倍に増加。2025年は11万平方キロメートル。1年で日本の面積の3割に相当する森林が失われました。
こうした火災に挑む企業が北九州にあります。それがシャボン玉石けんです。しかしなぜ石けんメーカーが消火剤を開発しているのでしょうか。春先に行われる北九州市平尾台の野焼きでは、散布される消火剤にある特徴があります。
北九州市消防局 井上長太朗さん:
「石けん系の消火剤になります。泡が消えやすいという特徴があるため、環境への影響が残りにくい」
水で100倍に薄め、一般的な住宅火災で使った場合、水の使用量は17分の1で済むと言います。なぜ水の量をこれほど減らせるのでしょうか。まず石けんの泡が木など燃えているものの表面を覆い、酸素を遮断して燃焼を抑えます。さらに、水には表面張力があり、土や落ち葉などに浸透しにくい性質があります。一方、石けん系消火剤には、表面張力を弱める成分が入っているため、水分が奥まで行き渡りやすくなります。
創業から続くこだわりと消火剤開発への歩み
シャボン玉石けんは、1910年創業。高度経済成長期には合成洗剤を販売していましたが、1974年に動植物の油脂からつくる石けんの製造販売を開始。環境意識の高まりや安全志向を背景に、事業を拡大してきました。2026年2月期の売上高は、137億円です。石けんの材料には、牛脂やパームからとった動物性と植物性の油脂などを使用。1週間かけて釜で反応させて、石けんの素をつくります。出来栄えは、熟練の職人が舐めて確認します。
実は従来の消火剤は、消火後の環境への影響が問題となっているのです。シャボン玉石けんの消火剤は実験で、化学成分の入った合成系消火剤に比べ、消火後の環境でイネの発芽に影響が少ないことが確かめられました。シャボン玉石けんは北九州市消防局の依頼を受けて、2001年から消火剤の開発に着手。2007年に実用化しました。


















