2100年頃には桜が咲かない地域も? 温暖化で桜前線に異変 花見もスタイルも多様化へ

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日本の春を彩る桜ですが、桜前線に“異変”が起きています。2100年には、桜が咲かない地域も出てくる可能性があるのです。桜にまつわる異変について、九州大学・伊藤久徳名誉教授に話を聞きました。

各地の桜の開花時期がばらつく

2005年の鹿児島県の桜は1番早く開花していた

2005年の桜前線は、3月25日ごろまでに九州地方で桜の開花が始まり、少しずつ桜前線が北上しています。一方、2024年の開花予想マップでは、2005年と比べると桜前線が複雑な形になっていて、各地の開花時期にばらつきが出ています。特に鹿児島県は約20年前までは、どの地域よりも早く咲いていました。しかし最近は、広島県や愛知県よりも開花が遅いのです。

九州大学・伊藤久徳名誉教授

そもそも桜は冬の一定の寒さを経験したあと、春の暖かさで開花します。伊藤さんは「九州では温暖化の影響で桜にとって十分な低温にならず、開花が少しずつ遅れている」といいます。

温暖化が進むと、桜の開花はどうなるのか。今から約70年後、2100年ごろの桜前線を予想したシミュレーションがあります。

約70年後、九州地方の一部では桜が咲かなくなる?

2100年ごろの桜前線(伊藤名誉教授の研究をもとに作成)

2100年後には桜前線の形は大きく変わり、九州から関東にかけてほぼ一斉に桜が咲き始めると予想しています。九州や四国などでは“桜が咲かない”、といった地域も出てくるかもしれないんです。さらに伊藤さんは「桜が咲かないことで、花見の文化も廃れていく可能性がある」と指摘します。あくまでもシミュレーションなので、桜の開花に関しては変わっていくかもしれません。

花見にも物価高・円安の影響が…

物価高や円安が花見に影響する、と答えた人が半数以上

桜前線だけでなく、花見にも異変が起きています。花見の予算に関する調査データを見ると、2023年の平均予算は6935円でした。しかし2024年の平均予算は6872円と、2023年よりも低くなっています。その理由が円安や物価高です。

調査会社・インテージが、物価高や円安が花見に影響するのか2500人にアンケートしたところ「かなり影響する」「やや影響する」と答えた人が半数以上の57.8%に上りました。ただ、意識調査では「花見を予定している」「花見をするかもしれない」と答えた人は、2023年よりも増えているんです。

花見の多様化が進む

調査したインテージの担当者は「コロナ禍の自粛生活から解放された今だからこそ、桜に癒されたい人が増加しているのではないか。予算は少なくても、自分なりのスタイルで楽しむといった、花見の多様化が進んでいる」と分析します。

皆さんも自分なりの花見スタイルを探してみてはいかがでしょうか。

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