再生のカギはスイーツ 異業種からの参入で経営難のホテルや旅館を買収して黒字化 山梨県

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コロナ禍や人手不足などで経営が難しくなったホテルや旅館を、ある異業種の企業が次々と買収しています。再生のカギは「スイーツ」にありました。その戦略に迫ります。

「ウエルカムスイーツ」で旅の疲れを癒す

ウエルカムスイーツ

山梨県・石和温泉にあるホテルには「ウエルカムスイーツ」の提供という少し変わったサービスがあります。色とりどりのケーキから、どれでも1つもらえるのです。しかもアイスは夜10時まで食べ放題のほか、売店にはバウムクーヘン工房もあります。

長い移動のあとに甘いもの。これには宿泊客も「最高です」「スイーツでだいぶ満足感が違うかも知れない」と好評です。

シャトレーゼホテル

実はこのホテル、スイーツのチェーン店であるシャトレーゼが運営する「シャトレーゼホテル」です。

2024年1月、店舗数が1000店に達しました。そのシャトレーゼが2022年に買収したのが、現在の「シャトレーゼホテル石和」です。元は日本郵政の「かんぽの宿」でしたが、赤字でした。そこに、スイーツという「個性」と「お得感」を持ち込み、新たなホテルとしてスタートさせたのです。

客層広がり、2年目で黒字化へ

稼働率は85%に上昇

シャトレーゼホテル石和 運営部長 駒田靖子さん:
「(買収前は)シニア世代の夫婦が中心でしたが、ファミリーのお客様がメインになっています。(客層が)幅広くなってきました」

新たな客層を得て、稼働率は85%に上昇。2年目の今期、黒字になる見込みです。

シャトレーゼHDは11カ所の宿泊施設を買収

シャトレーゼはこれまでに11カ所の施設を買収しています。リゾートホテルに都市型の老舗。大企業の研修施設とタイプはさまざまです。いずれも再生を託され、多くは黒字化を果たしています。

再生は「無駄」の発見から

シャトレーゼの創業者・斉藤寛会長

シャトレーゼの創業者・斉藤寛会長、89歳。再生は無駄の発見から始めます。まず、旅館の玄関とロビーをスイーツ店に改装。そしてレストランを一体運営に変えました。

売上高は買収前より4割アップ

シャトレーゼHD 斉藤 寛会長:
「最低(限)の人繰りをしておいて、忙しいときはお互いが手伝う。たとえば朝だったらレストランが暇ですよね。ですから手伝うという」

人をできるだけ増やさず、売り上げを4割近く増やしました。シャトレーゼはさらに2024年、佐賀県の唐津など2カ所の再生に取り組みます。

「平均3億円を売り上げたい」と語る斉藤会長

日本経済新聞社 甲府支局 松永高幸支局長:
「スイーツ店の客にホテルでユニークな体験をしてもらうことで、さらに熱心なファンになってもらおうという狙いがあります。全国に店舗を増やしていく中で、ファン作りの拠点として活用しようとしています」

シャトレーゼHD 斉藤 寛会長:
「(ホテル)業界に参入するのではなく、菓子事業の一環としてやっています。今(1店・1年あたり)平均2億円ぐらい売っていますが、なんとか3億円に平均を持って行きたいです。まだまだやれる余地はありますね」

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