老舗ホテルの新戦略「アドベンチャートラベル」 滞在期間が伸びて消費額は2倍以上に 北海道・登別
北海道の名湯「登別温泉」では、観光スタイルの変化を背景に次々と改革が起こっています。老舗ホテルが取り組んだリニューアルに迫ります。
「温泉のデパート」ともよばれる北海道・登別温泉。湧き出るお湯は1日1万トン・泉質は9種類と豊富です。最大の源泉「地獄谷」は鬼が守るといわれています。
創業85年の「登別グランドホテル」では、ある改革を進めています。1億円以上をかけてリニューアルしたのが「鬼サウナ」。登別の地獄谷、そして鬼をモチーフにしたさまざまな仕掛けを用意しています。
2022年に完成した110度の高温が売りの「鬼サウナ」のほか、80度の中温でおだやかにととのう「清流サウナ」も設置しました。サウナに欠かせない水風呂は味噌樽を再利用。こういったサウナに集中した設備改修を行っていたのです。
温泉が自慢の登別ですが、なぜサウナに力を入れているのでしょうか。
日本経済新聞社 高尾 泰朗記者:
「『滞在型観光シフト』の1つのきっかけになったのではないかと思います。広大な面積に観光地が点在する北海道は、周遊型の観光が定着しています。アクセスのよい登別温泉は、その恩恵も受けてきました。今後は飲食や観光コンテンツの面で地域内の事業者が連携しながら連泊客を取り込み、収益力を高める努力が必要になってくるでしょう」
滞在型観光を進める「アドベンチャートラベル」
いま、登別では1泊したら次の目的地へ向かう団体客中心の周遊型観光から個人客に連泊してもらう「滞在型観光」に軸足を移そうとしています。急速に改革を進める第一滝本館。165年前、この地に温泉を開いた滝本金蔵が作った登別最古の宿です。
その8代目社長。東京でコンサルティングや不動産業界も経験した南智子さんです。滞在型シフト戦略の中心に据えるのは「アドベンチャートラベル」。世界では70兆円の市場規模があるアドベンチャートラベルのツアーに同行しました。