高齢者がゲームで認知症予防へ 先読みする力がアップ 「eスポーツ」が運動能力に及ぼす影響

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高齢者の健康づくりにも期待が高まるeスポーツ。実際に高齢者の身体能力にどのような影響を与えるのか。スポーツ心理学を専門とし、eスポーツの可能性について研究を進める慶應義塾大学の加藤貴昭教授に話を聞きました。

視覚探索能力

加藤教授は高齢者施設で10週間、高齢者に継続的に「太鼓の達人」というリズムゲームをプレイしてもらう実証実験を実施しました。

――ゲームのプレイの実験前後で高齢者の変化を調べた結果、向上した能力があったそうですね。

専門的な言い方では「視覚探索能力」といいます。今、目の前に起きていることだけではなく、次に何が起きるのかを先読みして見るような能力が向上しました。

――高齢者にとって、視覚探索能力の向上は日常生活のどのような場面で生かせますか。

日常生活の動きに、影響を及ぼしてくれるのではないかと思っています。歩行は足を踏み出すその“足”を見ているわけではなく、1歩か2歩先を視線的に見ています。

――向上した能力はほかにもありましたか。

ゲームによって実行機能や認知機能が向上

大きな画面で距離をとって一緒にプレイ

ゲームによって実行機能や認知機能が向上した、といえるのではないかと思っています。実行機能とは、課題があったときにそれをどのくらい早くこなせるか、ということ。普通に生活している中で実行機能は必ず使われています。その実行機能を向上させていくことは非常に大事かと思います。もしかしたら、認知症の予防にもつながるのではないかと考えています

――高齢者がゲームを行う上で、デメリットはありますか。

近距離で長時間ずっと同じ体勢でいることは、視力的にはあまりよろしくありません。大きな画面で距離をとって多くの方と一緒にプレイしています。視力に関しては大きな影響はないと思います。

――ゲームのコントローラーを使い、指先を頻繁に動かすことは高齢者にとって難しいという課題もありますね。

今後はそうした課題も少なくなるのでは、と予想しています。これから10年ほどで高齢者になる方はファミコン世代になります。おそらくコントローラーを使うことは、問題なくなるのではないかと考えられます。

ゲームだけや一般的な運動だけではなく、組み合わせていくことが大事になってくるのではないかと思います。

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