リスキリング(学び直し)で高齢者雇用を活性化 専門性に加えてデジタル活用など時代に合わせた戦力に

経済 社会 くらし・生活 企業 友だち追加

なぜ高齢者の労働力の活用が広がらないのか。高齢者やベテラン社員の再戦力化に取り組む「パーソルイノベーション」の柿内秀賢さんに話を聞きます。

柿内秀賢さん

――高齢者の再雇用について、シニア社員は知識や経験が豊富で会社にとってもメリットがあると思いますが、なぜ限定的なのでしょうか。

調査によりますと、企業がデジタル活用などの新しい環境変化にチャレンジしてもらえるのかを心配をしているのが背景にあるようです。

――実際に高齢者を再雇用している企業も少しずつ増えてきていますね。

実際に現場ではZoomを使った打ち合わせや、エクセルを使った報告書作成など、デジタル活用が日常の業務に組み込まれています。また年上の部下を持つ管理職の悩みもよく耳にするので、こういったことが現場の問題としては考えられているようです。

――上司が年下、部下が年上になるというのは気を遣う部分もあるかと思います。実際に若手社員からはどのような意見が出ていますか。

会社および若手の社員からすると、高齢者の経験に裏打ちされた専門性や人脈、見本となるような立ち居振る舞いはとても頼りになると期待されています。

リスキリング(学び直し)に注目が集まる

65歳以上の人口の割合

――シニア社員がどんどん活躍してもらえると良いですね。

そのための解決策として、最近「リスキリング」という言葉が注目されています。つまり、学び直しです。これが解決策として期待されているようです。

――なぜリスキリングが注目されているのでしょうか。

リスキリングはその人が持っている専門性に、デジタルの活用や変化対応力が加わることでその時代に合った戦力として期待できるようになる取り組みになっています。これが高齢者に求められていることだと思います。

――実際にリスキリングを取り入れている企業も出てきていますか。

少しずつ出てきています。とある事例では、メーカーでベテラン社員の再戦力化の試みがありました。50歳以上の社員を対象に、3カ月間トレーニングを実施。対象者は最初、「今さらなぜ自分がトレーニングを行わなければいけないのか」と抵抗感を示される人が多くいました。しかしトレーニング終了後には「新しいことを覚えるのは楽しい」「会社の期待に応えられることがうれしい」といった前向きな言葉が聞こえるようになったのです。

リスキリングによってスキルやマインドが新たになり、会社の戦力になっていくことが解決策として期待されているのだと思います。

――今後はリスキリングのような取り組みがもっと盛んになるといいですね。

当社の調査によりますと、1年間何かしらのリスキリングに取り組んだ企業の割合は50%に達しています。今後はますます高齢者を巻き込んだリスキリングは増えていくと思います。

おすすめの記事

おすすめの記事

アクセスランキング

アクセスランキング

ページトップへページトップへ