「円高は2024年以降」と専門家は予想 しかし年内は円安と原油高のダブルパンチで生活直撃

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現在の物価高の一因となっている円安。なぜ円安が止まらないのか、みずほリサーチ&テクノロジーズの主席エコノミスト・酒井才介さんに話を聞きました。

円高

酒井才介さん:
「アメリカと日本の『縮まらない金利差』が要因だと思います。アメリカの中央銀行FRBがこれまで利上げを進めているにもかかわらず、アメリカの経済が想定以上に底堅く、インフレもなかなか収まってくれない状況です。当面は利下げに踏み切りにくくなっています。

一方で日本は経済の回復ペースが十分ではない中で、金利を引き上げることに関して日本銀行が慎重な状況です。そのため日米の金利差が縮小し難く、結果として円安という状況になっています」

当面は円安の状況が続くと予想する酒井さん。ただ、節目となるタイミングがくると話します。

酒井さん:
「2024年以降、円高に転じるのではないかと予想しています。アメリカ経済が2023年の終わりから2024年の初めにかけて、景気後退入りするのではないかと思っています。アメリカの中央銀行も、いずれ利下げに転じると思っています。そうすると日米の金利差が縮小していく方向でマーケットは捉えるので、今の円安の要因が剥落します。

2024年の終わりぐらいにかけて、130円台が見えてくるような緩やかな円高になるのではないかと思います」

低所得者に絞った施策を

困窮者対策

しかし年内は140円台後半の水準で消費者にはつらい状況が続きそうです。

酒井さん:
「原油価格が上昇し、同時に円安が進展しています。日本のように資源を輸入する国にとってはダブルパンチとなり、円建てでみた輸入物価が上がってしまうのです。食料品を中心とした値上げの動きは簡単には収束しません。年内は物価高が消費者の重しとなって、家計の生活水準が実質的に切り下がってしまう状況が続くことが懸念されます」

政府は10月を目途に経済対策を取りまとめる考えで、ガソリン価格を抑制する補助金の延長などが盛り込まれる見込みです。ただ酒井さんは別の施策をとるべきだと指摘しています。

酒井さん:
「GDP統計を見れば、需給ギャップというのはマイナスが解消されています。つまり需要が足りないという状況がなくなってきているのです。高所得者も含めて、恩恵が広く行き渡ってしまうような、ガソリン価格の補助金の施策よりは、困窮者対策という観点から低所得者に絞った形での給付対応が、より政策的な効率性も高く、より望ましいのではないかと思います」

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