ヤングケアラー、家族のケアと宿題で睡眠不足に 体調不良に陥るケースも 早期発見が必要と大学教授が解説

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ヤングケアラーが抱える問題やその解決策について、日本福祉大学の野尻紀恵教授に話を聞きます。

ヤングケアラー

●ヤングケアラーとは
大人が担うような家事や家族の世話、介護をしている18歳未満の子どものことを指します。

・障害や病気のある家族に代わり、買い物や料理などの家事をする
・家族に代わって、幼いきょうだいの世話などをする

――さまざまなケースがありますが、周りからは見えづらいということも大きな特徴とのことです。野尻さんが実際に関わった子どもは、どのような生活をされていましたか。

例えば、お母さんと2人暮らしの男の子で、年長の頃からお母さんのケアを行って、見守りをして食事も作り、買い物も行っている子がいました。小学校も休まずに通っていてすごく頑張っていたので、問題のない子どもとのことで発見しづらい状態でした。小学5年生のときに不登校傾向になって、ようやくヤングケアラーだったことが分かったのです。

――ヤングケアラーの子どもたち自身が、このような生活から抱えてしまう問題や弊害は具体的にどのようなことが考えられますか。

家事やケアを必要とする人たちに、時間を取られてしまうケースがあります。愛知県の調査では、1日に5時間から7時間のケアをしている子どもがいることが分かりました。そうすると、学校の宿題などさまざまなことをしていると、夜中の2時や3時まで起きていることになります。そうして朝起きづらくなってしまったり、体調に異変を起こしてしまったりする子どももいます。

周囲の大人が早期に支援機関につなげることが必要

――家族の世話などで時間が取られてしまって自分の時間がない。さらには睡眠時間も削ってしまい体調に異変が生じてしまう。この2つが大きな問題になりそうですか。

現在の子どもたちの問題としては、この2つが大きいかと思います。一方で、これを繰り返していると、「私しかやる人がいない」「誰にも助けてもらえない」という諦めの気持ちが起こってしまい、自分自身のやりたいことを行えない、夢を諦めてしまう子どもも多くいます。

――こうした問題を解決するためには、どのようなことが求められますか。

3つあると思います。1つめは早期の発見が必要なことです。幸いにも、このようにニュースとして取り上げてもらえて、子どもたちが「ヤングケアラー」という言葉を耳にするようになっています。「ヤングケアラーではないか」ということを、学校や周りの大人が注意してみてあげて、早くに支援機関につないでいくことが大切だと思います。

2つめは、ケアをされている家族たちが利用できるサービスや制度を使えるように、信頼関係をつくりながらサービスにつなげる必要があることです。3つめは、子どもたちのパワーを上げていくことです。嫌なことは嫌、自分のやりたいことをやりたいと言えるような気持ちを持たせるために、地域の皆さんが行っているような居場所につなぐことが必要かと思います。

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