コロナ禍経て「移住熱」依然高く 自治体は友人づくりや英語教育など、ユニークな施策で誘致図る

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船井総合研究所で地方自治体の移住政策を支援する杤尾圭亮さんに、移住施策について話を聞きます。

――コロナを経て、各自治体や国が行う移住に対する取り組みに変化はありましたか。

地方創生の頃にはすでにさまざまなことが行われていましたが、人口減少が止まっていませんでした。そのため、国も自治体も非常に強く移住施策を推進する傾向にあります。一方で、移住する側は場所に限らず仕事ができるリモートワーカーが増えてきたので、移住を希望する層は増えてきていると思います。

国としては、デジタル田園都市構想に基づいて移住施策を推進するという意味では、以前からあった移住支援金や企業支援金といった自治体をサポートする施策があります。これを大幅に拡充していくという方向性をとっています。一方で地方自治体では、そういった施策を利用して、それぞれユニークな施策を準備するようになっています。

市役所の職員が「最初の友人」に

愛媛県西条市

――各自治体のユニークな取り組みの実例を教えてください。

1つ目は、頻繁に住んでみたい地方に選ばれている愛媛県西条市の事例です。この街では、移住する方の地域で最初の友人になるというコンセプトで市役所の職員が、移住したい方に密着して支援をしています。これが功を奏して移住者が大きく増加する傾向にあります。

――移住先に知り合いがいなければ、移住することに少なからず不安を覚えます。友人になってくれるというのは、安心感につながりそうですね。

移住者にとっては何でも話せる友人、そして地域の方にとっては市役所が一種のフィルターのようになることで、移住者の選別をしているため、双方にとって利益のある制度になっています。

――移住を受け入れる側と移住する側の、2人取り持つ緩衝材や潤滑油になることはありがたいですね。

茨城県境町

――もう1つの事例である茨城県境町の取り組みについても教えてください。

茨城県の境町のテーマは「英語移住」です。この境町を含めて、近隣の自治体は大体都心から2時間くらいの距離にある場所になり、リモートワーカーの方々が普段生活をしてときどき出社するのに最適な場所になっています。人口の争奪戦が激しい中で掲げているのが「境町に住んでもらえれば、徹底的にお子さんの英語力を伸ばします」という施策になっています。

――教育という目に見える形で打ち出してくれると分かりやすいですね。

子育て日本一を掲げるところはありますが、境町の場合は子ども1人当たりの英語教員の増加、英検を受ける場所の増加、さらに一部英語検定の料金も負担をするという施策をとっていて、実際に子どもたちが取得する英語検定の数や級が上がっている傾向にあります。非常に目に見えやすい成果が出ていて、この取り組みに移住者からも注目を集めています。

――今後はさまざまな独創性に富んだアイデアが自治体には求められていくのでしょうか。

自治体によって狙っているターゲットは異なりますので、地域の独自性を重視したユニークな施策を展開する時代になったのではないかと思います。

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