【解説】株がバブル後最高値 海外投資家は景気後退・金融不安の欧米より「日本株」に期待 今後の予測も

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19日にバブル後最高値をつけた株価。今の株高の要因やいつまで続くのか、みずほリサーチ&テクノロジーズで主席エコノミストの酒井才介さんに詳しく話を聞きます。

19日の日経平均株価

―――現在の株高の理由としては、何が考えられますか。

いくつか要因はありますが、1つは2022年度、2023年度の企業の決算が昨今の円安を受けて製造業を中心に好調であったことが挙げられます。また、企業の株主還元策も理由の1つです。東京証券取引所が企業に資本効率の改善を求めていて、企業が自社株買いや配当を増やすなど、株主還元策を強化したことが投資家に評価されたと思われます。

日本経済のファンダメンタルズ、日本経済の回復が足元の経済指標で確認されていることも大きいと思います。例えば、先日公表された1、3月期のGDP、日本の経済活動は個人商業を中心に、回復が続いていることを示す内容となっています。先行きも春闘の賃上げ率が非常に高くなりそうです。あるいは新型コロナウイルスの感染による懸念が後退していくことで、個人消費が先行きも顕著に推移していくことが見込まれます。

また、今後は中国を中心としたインバウンド事業も回復が本格化していくことが期待できます。こうした日本経済の先行きへの期待が投資行動に表れていると思います。

アメリカよりも日本の方が景気回復の余地があると予測

―――日本の経済が良い状況にあるというのは、これまでとは一気に見方が変わりますよね。

日本経済の回復については、まだ水準としてはコロナ禍以前である2019年の平均と比べてもGDPは当時の水準に戻ってきていません。一方で、足元の日本株を評価されている背景として、海外がこれから弱含んでいくのではないかという見方が広まっているのが大きいと思います。

アメリカはこれまで非常に高いインフレ率が続いたので、アメリカの中央銀行が急速なスピードで利上げを進めてきています。その結果として経済が冷え込み、足元では地方銀行の経営破綻など金融システムの不安が台頭してきています。2023年の後半には、アメリカ経済は景気後退入りする、GDPがマイナス成長に陥るという見方が広まってきています。

一方で日本は、水準こそまだまだですが、これから回復が本格化していくと考えられるので、海外投資家から見れば、アメリカよりも日本の方がこれから伸び、景気回復の余地があると予測して、日本株が選ばれているのだと思います。

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