「オルカン一択」でいい? 元ゴールドマン・松井雅章さんが語る“国債NISA化”と個人投資家の強み
円安は「日銀が利上げすれば終わる」ほど単純ではない
話は、日本を取り巻く経済環境へ。
松井さんは現在のマーケットを「誰がやっても難しい」と表現します。
円安一つを取っても、「日銀が利上げすれば流れが変わる」という単純な話ではないといいます。
日本は原油や食料など、生活に欠かせない多くのものを海外から輸入しています。
海外から何かを買うためには、当然、その代金を海外に支払わなければなりません。
一方で、日本から世界へ提供し、海外からお金を受け取る商品やサービスが十分になければ、お金は外へ流れていきます。
さらに現在は、デジタルサービスでも海外企業への支払いが増えています。
「ChatGPTに聞いたら課金しなければいけない。またデジタル赤字。Gemini……GoogleでGmailを使って、YouTubeで配信されて……『これもそうか』って」
松井さんは冗談を交えながらも、日本から海外へお金が流れていく構造は「根深い」と指摘します。
では、どうすればいいのでしょうか。
エネルギーの輸入量を少しでも減らす。国内で生み出せるエネルギーを増やす。国産のAIやデジタルサービスを育てる。そして、世界から必要とされる商品やサービスを増やしていく。
一つの政策ですべてを解決できるものではなく、時間をかけて一つひとつ取り組んでいく必要があると松井さんはいいます。
「そんな危険な債券を買わせるな」で終わっていいのか
こうした日本経済の話から、議論は「国債」へ移ります。
片山さつき財務相が、個人向け国債のNISA対象化を含む税制措置について言及したことを受け、SNSではさまざまな意見が飛び交っています。
その中には、
「そんな危険な債券を買わせるな」
といった反応もあると松井さんはいいます。
しかし、松井さんは、国債を単に「投資商品として得か損か」という視点だけで見てしまうと、重要な部分を見落とすと指摘します。
国は、医療や社会保障、防衛、インフラなど、私たちの生活を支えるために多くのお金を使っています。
その財源の一部を国債によって調達していますが、国がお金を借りるコストが上昇すれば、国債の利子を支払う「利払い費」も増えていきます。
利払いに充てるお金が増えれば、その分、私たちの暮らしを支えるために使えるお金は圧迫されます。
道路や水道管などのインフラが老朽化しても十分な予算を確保できない。医療をはじめ必要な分野へお金を回しにくくなる。
国債をめぐる問題は、金融市場の中だけで完結する話ではありません。
「どんどんしわ寄せが来るのは、まさに僕たちの生活。全然これ、他人事ではない」
松井さんはそう話します。














