年間販売台数80万台の電動アシスト自転車 企業の利用が拡大中
移動に便利な電動アシスト自転車は年間約80万台が販売され、一般の自転車を上回っています。電動アシスト自転車の利用は個人だけでなく企業にも拡大。ニーズも多様化しています。その背景を探ると、世の中が抱える数々の問題が見えてきました。
電動アシスト自転車は国内全体で80万台を販売
電動アシスト自転車は、大阪府に本社を構えるパナソニックサイクルテックが国内出荷台数の半分を占めています。子育てママの愛用品というイメージもありますが、国内全体で80万台が販売され、いまや「一般自転車」を上回ります。
そんな成長市場で今、新たなニーズがありました。電動アシスト自転車で東京都内をさっそうと走る彼は介護士です。自宅で介護を必要とする人を訪ね、生活を支援する「訪問介護」。生活リズムを崩さないよう、毎日決まった時間に訪ねる必要があります。
買い物代行なども含め、10キロ近く走る日もあるそうです。電動アシスト自転車を利用すれば、上り坂も無理なく走行できます。ブレーキを多用する裏道でも機動力を発揮します。以前はいわゆる“ママチャリ”での移動だったそうです。
介護士:
「(電動アシスト自転車は)力を入れなくて済むので助かります」
「移動時間が短縮し、移動範囲も広がりました」
電動アシスト車へ移行
この介護サービス会社「SOMPO ケア」では、車や自転車などから電動アシスト車へ移行を進め、都市部で1000台を導入しました。
SOMPOケア 亀山正樹さん:
「運転をしたことのない人も多いです。自転車であればサービスを提供できるというのは、電動アシスト自転車の魅力の1つですね」
このような企業からの需要に応えるため、パナソニックでは法人専用サイトを立ち上げ営業を強化しました。外回りの営業をする銀行や保険業、物流コストを抑えたい配送業などにアプローチ。2022年度の法人向けの売り上げは、1年前の1.6倍に拡大しました。
日本経済新聞社 大阪ビジネスグループ 泉 洸希記者:
「自転車市場では、脱炭素も追い風になっています。パナソニックの自転車事業は、これまで物売りが中心でした。2023年からは、移動中に故障した自転車を24 時間修理するロードサービスを始めるなど、サービス事業も拡大しています」