夏は「ウニ」目当て 旅行客に人気の北海道積丹町で新たに始まった「まちづくり」とは
北海道の西海岸、積丹半島の先端に位置する積丹町。鮮やかな青い海は「積丹ブルー」と呼ばれ、この時期にとれるウニを目当てに、夏には多くの観光客が訪れます。
そんな積丹町に生まれた新しい名産が、いま注目を集めています。
原料はアカエゾマツ
積丹ブルーをイメージしたお酒「火の帆(ほのほ)KIBOU BLUE」です。香りに使うメインの原料は、町内で採れたアカエゾマツ。
積丹スピリット 岩井 宏文社長:
「マツの中でアカエゾマツの新芽だけ(乾燥させると)オレンジというか、そういうものに近い香りが出てきます」
手掛けるのは、積丹スピリットの岩井社長。農業のコンサルタントでもあり、自然が豊かな積丹とジンの組み合わせに、可能性を感じたといいます。
岩井社長:
「(ジンは)ワインやビール、ウイスキーとは違って定義が広いです。つまり、我々の創作の自由度が増します。山の上から海際まで、下手すると海の中にある、植物も使うことができます」
ジンに使う植物は自由にチョイス可能
3年前に完成した蒸留所では、タンクの中に入れた大量の葉っぱが見えます。この葉の香りを抽出して液体にします。
ジンの香りや色付けに使う植物は自由に選べます。ブルーのほかには、町内産のハマナスなどを使った赤いジンも。こうした創作の自由度の高さから、地域色や作り手の個性を生かした新ブランドが続々と生まれています。
ジンの国内出荷量は、この3年で3.4倍になるなど、急拡大しています。鍵を握るのは、その原料です。畑は町が買い取った、耕作放棄地を活用して、北海道らしいラベンダーやハーブなどを栽培。原料のレパートリーは、約30種類に上ります。
植物ごとに香りを抽出したあとにブレンド
製法にもこだわりがあります。一般的なジンは、複数の材料をまとめて香りを付けますが、積丹スピリットは、植物ごとに香りを抽出して、あとからブレンドします。
組み合わせを変えれば、幅広い商品づくりが可能に。豊富な原料を生かした「少量多品種」の戦略です。製造したジンを見てみると、その1つに「三井物産」のロゴが書かれた商品がありました。客の依頼を受けて手掛けるOEMです。
岩井社長:
「バーのオリジナルを造ってほしい。企業のSDGsを表現するためのオリジナルを造ってほしいという依頼がありました」
三井物産は全国に75の森を所有し、その8割が北海道にあります。環境への取り組みをPRしようと、社有林のアカエゾマツを使って2022年に贈答品用に発注しました。
三井物産北海道支社 末柄 琢也業務室長
「こういうもの(ジン)を通して語ることによって、お客さんにも(取り組みのことを)しっかりと届けられます」