増える、フリースクールに通う子どもたち 「不登校も悪いことではない」 2022年度は不登校が過去最多
2021年度から急増する不登校の子どもの数。文科省の調査ではコロナ禍の影響で生活リズムが乱れたことが影響したと指摘します。こうした不登校の子どもの増加に伴い、フリースクールの需要も増えているそうです。
愛知県豊田市でフリースクール「Tao Haus」を運営する信田雄一郎さんに話を聞きます。
――1年半前に教員を辞めてフリースクールを開校されたそうですね。それだけ、子どもたちから求められていたのでしょうか。
私が教員になったのは2009年です。当時から14年ほど経って、不登校の生徒の数も約3倍に増えています。そのため非常にフリースクールの需要も増えていると思います。
――なぜ子どもからフリースクールが求められるのでしょうか。
学校自体は10年前や20年前も、現在と似たような教育をしています。多様化していく時代の中で、さまざまな個性を持った子どもたちがいます。その子たちに学校側が合わせていくのは難しい、という現状があるのではないかと考えています。
――フリースクールであれば、個性あふれる子どもたちに寄り添うことができるのですね。
フリースクールは文科省が提示するカリキュラム等に捉われず、経営者が各々の“イズム”に従ってカリキュラムを作っています。さまざまな子どもたちに対応できるのではないかと思います。
学びの場の選択肢が増える
――フリースクールに行くことで、子どもに変化はありましたか。実例を教えてください。
私のフリースクールでは料理など、好きなことに特化した活動をしています。「学校でできなかったことを、思う存分できて良かった」という、うれしい声をいただきます。
――学校で学ぶはずだった教育が施されていないという不安についてはいかがでしょうか。
保護者の中には国語・算数・理科・社会等の教科を教えてほしいという方もいます。そのような保護者の思いは強いものがあると感じています。
――学習塾やフリースクールなど、選択肢が増えるのは良いかもしれませんね。
勉強がしたい人は学習塾が行うフリースクールに行ったり、料理など自分のやりたいことを追求したい人は私のところに来たりすれば良いと考えています。
――現状、不登校の子どもが過去最多だという事実については、フリースクールを運営する信田さんとしてはどのように捉えていますか。
私が中学生だった20数年前と比べて、当時から学校がつらいという子どもはたくさんいたと思います。しかし今は当時と違い、本音が言えるようになりました。不登校も悪いことではないという認識が広まって、顕在化しているんです。以前よりも本音を言えるような社会になってきたので、非常に良いことだと感じます。