畳の上に「竜」が出現? 絵画のようなアート畳で生産量減少の窮地脱却へ

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日本人の畳離れが進む中、これまでにない畳作りで売り上げを伸ばし続ける畳店が岐阜県羽島市にありました。畳の既成概念を覆した、その名も「アート畳」です。

迫力満点の竜のデザインが美しい畳

岐阜県内の民家で見つけたのは巨大な竜。絵画のように見えますが、これが「アート畳」なんです。

山田一畳店 山田 憲司さん:
「(画像)これは1色の畳しか使っていないです。光の反射で色を変化させています」

竜の目の色が変化

竜の目玉を取り出して反転させると、色が変わりました。

畳表に光が差すと、イグサの繊維1本ずつに影ができます。目の向きが変われば、見える影の量も変わるので、畳全体の色が変わったように見えるのです。

アート畳誕生のきっかけは「ハイエース」

ハイエースに敷いた畳からアイデア生まれた

型破りな畳を次々と作っているのは、創業1869年。岐阜県羽島市にある「山田一畳店」です。アート畳誕生のきっかけを聞きました。

山田 憲司さん:
「ハイエースという車の後ろに畳を敷いてほしいと言われました。僕自身も四角以外の畳ができると思っていなかったので、意外とうまくできたなと。また、もともと縦と横で(畳の)色が変わるのは知っていました。少しだけ(畳を)傾けたら何色が出るのかな? とハイエース用の畳を作ったときにアイデアが出てきたんです」

イグサを手作業で丁寧に曲げていく

山田一畳店が手がける畳は作り方も独特です。例えば、竜のうろこの部分は型紙にあわせてベースをカット。畳表を貼り付けますが、問題は角の部分。ここで秘密兵器が登場します!

山田さん:
「そのまま曲げるとイグサが折れてしまうので、折れないようにふやかしてから曲げていきます」

うろこはそれぞれバラバラに作りますが、問題は畳表の目の向きです。ずれれば見た目の色が変わってしまいますが、ぴったりとはまります。

洋室にマッチする畳に

さらに山田一畳店のアート畳は新たな需要を生み出しています。神奈川県横浜市にある大橋さんの自宅にお邪魔すると、リビングのど真ん中にアート畳を発見! ヨーロッパの石畳を思わせるデザインです。

大橋さん:
「子どもたちの家具を置くことや(家具が)増えていくことを考えて、リビングは洋室が良かったです。それでもどうしても畳を入れたかったんです。これなら洋室に合うなという畳を見つけることができたので入れました」

売り上げは5年で2.5倍

畳表の生産量は2000年ごろから激減。和室がない住宅が増えたためともいわれています。そんな中、山田一畳店はアート畳で売り上げをこの5年で2.5倍に伸ばしています。

日本経済新聞社 斎藤 一美記者:
「これまで一般的な畳といえば、企画や形、使い方が決まったものでした。その畳に独自の技術とアート的な発想を取り入れ、新たな付加価値を生み出したことが、今回の成功のポイントといえるのではないでしょうか」

山田 憲司さん

山田さん:
「まだ世界にはニーズが掘り起こせると思っているので、海外を目標に畳づくりをしていきたいと思っています」

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