少子化対策「第1子に1000万円の給付を」関東学院大の教授が大胆提案 年金の積立金を取り崩して財源に

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関東学院大学教授で経済や財政、少子化問題に詳しい島澤諭さんに、政府が発表した少子化対策について話を聞きます。

年金には200兆円もの貯金がある

第1子

――政府が発表した異次元の少子化対策ですが、少子化は止められるのでしょうか。

残念ながら少子化は止まらないと思います。これまで効果がなかった少子化対策の延長線上で予算規模を3兆円台半ばまで膨らませている形になります。それも、岸田総理の方針のもと予算規模ありきで決まった印象があります。

――島澤さんが考える対策は「第1子に1000万円の給付を」とのことですが、説明をお願いします。

子ども1人にかかる子育て費用は約3000万円といわれています。少子化の原因は、金銭面から第1子を持つことを諦めることにあります。

第1子の際に1000万円を出産一時金として支給し、子どもを持つハードルを下げることが必要だと思います。

――これだけの金額になると、財源が気になりますが、どこから持ってくるのでしょうか。

財源はあります。年々増える一方の社会保障の財源を確保するために、消費税の引き上げをしていますが、実は年金には200兆円もの貯金があります。2022年に生まれた第1子は、36万人弱でした。その子どもたちに1000万円を支給したとして、毎年3兆円台半ばの予算が必要になります。それを取り崩して、1年分の年金給付額である50兆円を残したとしても、まだ数十年分の財源が確保できるということになります。

年金の積立金を取り崩して財源にする

年金の積立金(時価ベース)

――画像のグラフの青色部分、50兆円が納付されるお金ですね。赤色の150兆円が、手付かずになっているお金のため、ここを取り崩すということでしょうか。

1年分の余裕を持たせて、残り150兆円は寝かせておいても仕方がないため、それを有効活用するという趣旨です。

――この積立金を毎年3兆円ほど取り崩していく、制度上では年金に問題ないのでしょうか。

そもそも、年金の積立金は取り崩していくことが想定されて運用されています。

――ただ、最近では年金の受給額が減ったこともあり、反発があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

異次元の少子化対策の財源として、社会保険料への上乗せが検討されていたということは、記憶にあると思います。

そもそも少子化対策で子どもが増えれば、社会保障財政が安定化し、全ての国民の利益になるという理屈でした。そのため、年金の積立金を取り崩して財源にしたとしても、子どもが増えれば年金の担い手が増えることになりますので、問題ないと思います。

――「36万人弱の第1子に1000万円給付」という異次元な案ですね。

岸田総理は異次元の少子化対策に取り組むと表明されました。国難とも称される少子化なので、第1子に1000万円給付するほどの、思い切った改革を実行する覚悟が求められているのではないかと思います。

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