“縫わない服”で余り布の廃棄をゼロに アパレル産業を持続可能にする取り組み 

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アパレル業界は服を制作するうえで、余った生地を捨てなければならず、環境負荷が非常に大きいといわれています。

その中で、和歌山のある企業が”廃棄ゼロ”を目標に、新たな技術を開発しています。

ホールガーメント

人気アウトドアブランドの「スノーピーク」。店頭には、「ホールガーメント」という特殊な機械で作られた新作の洋服が並びます。一般的に脇の部分は縫い合わせますが、新作には、縫い目がありません。

「縫い目がないことで、リュックを背負っても肩に負荷がかからないようになっています。製造の過程で端切れが出ず、サステナブルなんです」(スノーピーク 井上 昴店長)

ホールガーメントは生地の廃棄ゼロ

廃棄ゼロ

従来の洋服は生地をパーツごとに裁断して縫い合わせる必要があり、必ず廃棄ロスが出ていました。しかし、ホールガーメントは、マシンの中で立体的に編み上げることで、廃棄はゼロに。あのユニクロや海外の有名ブランドも、ホールガーメントを採用しているんです。

ニット製品の横編機でトップシェア

島精機製作所

開発したのは、和歌山に本社をかまえる「島精機製作所」。ニット製品の横編機で、世界トップシェアを誇る、ニット機械メーカーです。

ホールガーメントの完成品

マシンから出てきたのは、洋服の「完成品」です。

「『繊維の3Dプリンタ』といっても良いと思います。パーツがすべて組み合わさって出てくるので、生地のカットロスをなくせます」(島精機製作所 塚田 暁雄課長)

洋服の消費量と廃棄量

服作りには大量の水を必要とし、CO2を多く排出するアパレル業界。「消費」を上回る「廃棄」という問題も抱えているんです。

「これだけSDGsというのがよくいわれるようになると、「デザインが良い」「値段が安い」という要素に加えて、『いかに環境を配慮した商品か』が重要になります。その際に、島精機製作所は製造する過程において、ムダをなくしたものづくりに移行していこうと考えています」(日本経済新聞社 和歌山支局 上野 正芳支局長)

独自開発のデザインシステム「APEXFiz」

3D上でデザインを作る

そこでさらなる一手として、デザインの工程でも、「ムダをなくす」ためのデジタル化を
進めます。

「ニットを編む前に、3D上でデザインを作っていきます」(島精機製作所 遠藤まりかさん)

この機械は「APEXFiz」という独自開発のデザインシステムで、膨大な糸データと編みのパターンを組み合わせてデザインします。

「例えば糸を変えたときに、どのようなデザインに仕上がるのか。実際の製品を見ているかのようなクオリティですぐに3D上で確認できます」(遠藤さん)

これにより、生地の確認に使っていた「サンプル」の廃棄もゼロにしました。

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