AIカメラで車の侵入察知 踏切事故ゼロへ…名鉄が新システム実証実験 3月中に愛知県内10カ所に設置へ

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愛知県内では、JRの約3倍の数の駅を持つ私鉄・名古屋鉄道(名鉄)。踏切の数が全国の私鉄の中で、2番目に多い鉄道です。そんな名鉄が、画期的な監視システム「AIカメラ」を導入しました。安全性向上のための最新の取り組みに密着します。

名鉄は踏切の数が全国の私鉄の中で2番目に多い

カメラを発見

名古屋鉄道 鉄道事業本部 朝倉大智さん:
「この踏切は、カメラで撮影した映像をAIが解析、(電車の)乗務員に異常を知らせています」

人や車の動きをAIが解析

踏切を渡る車や人の動きをAIが解析。異常があれば、電車の運転士に知らせるシステムです。名鉄は2023年11月、このAIを使った監視システムを導入しました。理由は車の渋滞だとか。

渋滞によって踏切を渡りきれない車が多い

踏切にはみ出してしまう車

夕方、帰宅時間の踏切を取材すると、踏切にはみ出して止まっている車を発見しました。渋滞のせいで前の車が先に進まず、踏切を渡りきれない車がちらほら。このまま遮断機が下りてしまうと非常に危険です。

地域住民:
「(交通量は)多いですね。渋滞がずっと朝から晩まで。電車が来るのに危ないなと思うことがあります」

運転士から踏切はどのように見えているのか

踏切事故

名鉄では、2022年度の名鉄全線合わせて10件の踏切事故が起きています。特に踏切内で車が立ち往生すれば大惨事につながります。電車の運転士から、踏切はどう見えているのでしょうか。

非常ボタンを押すと表示装置が赤色に点滅

今回撮影したのは、名古屋市中心部の栄から名古屋の隣・瀬戸市を結ぶ「名鉄瀬戸線」。毎日朝と夕方は通勤通学の客で込み合う路線です。踏切の手前、左手に見えてきたのは運転士に踏切内の異常を知らせる「表示装置」です。遮断機の近くにある「非常ボタン」を押すと、赤色に点滅します。

赤い丸がセンサー

さらに踏切で見つけたのはセンサーです。これも踏切内の異常を知らせるためのものですが、検知する範囲が限られていて倒れている人などは検知できないことも。そのときは運転士の「目」だけが頼りですが、当然、踏切に近づいてから気づいても間に合いません。そこで開発されたのが「AIの目」なんです。

踏切に車が立ち往生してしまったときの実験の映像

実験

実験の映像を見てみます。踏切の中で1台の車が立ち往生してしまいました。この踏切にはセンサーがありません。するとAIが異常を検知し、表示装置が赤く点滅。その間、1秒もかかりませんでした。

踏切の外側も監視できる

このAIカメラ、監視の範囲を踏切の外側に広げることも可能。遮断機をくぐって入ろうとする、不審者の侵入も事前に察知できるので、さらなる安全性の向上が期待されています。

日本経済新聞社 名古屋支社 井沢真志記者:
「名鉄は生成AIなどAIの活用に積極的です。鉄道は、安全運行のために多くの投資が必要なビジネスですが、AIカメラの導入で効率的な安全性の確保が期待できます」

名古屋鉄道 鉄道事業本部 電気部長 横井 康人さん

名古屋鉄道 鉄道事業本部 横井 康人さん:
「鉄道事業は、安全が最大の使命。新しい技術を使って今までできなかった仕組みを考えて、安全性向上を図りたいと考えています」

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