「単なる職業訓練ではなく、生き方を考える」中学生のキャリア教育 豊田工大教授が解説 ドローンの授業も

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名古屋市の中学校で行われた、企業などによる出前授業。中学生のキャリア形成を支援するため、名古屋市が企画したものです。中部電力グループ「中部精機」によるドローンの授業では、生徒がドローンの操縦に挑戦しました。「キャリア教育」に詳しい豊田工業大学の江口建教授に、今回の取り組みについて話を聞きました。

キャリア教育って何? 学校ごとの温度差

豊田工業大学 人文科学研究室 江口建教授

――これまでの「キャリア教育」の課題について教えてください。

豊田工業大学 江口建教授:
「今までのキャリア教育は、進路指導や職業教育を行うものという理解がありました。そのため、職場体験や人を呼んで講演を開くなどを行っていましたが、今は単に職業訓練ではなく、『生き方そのもの』を考えることに変わっています。

しかし、現場レベルではこのような考え方がまだ浸透していません。キャリア教育は何なのか、学校ごとに差があると思います。また、学校ごとに現場任せで行われていたため、温度差があります。そこを統一化して体系的に行う仕組みが、あまり整備されてこなかったのも課題の1つです」

キャリアタイム

名古屋市は11月、キャリア教育推進センターを設置。2024年度から「キャリアタイム」を実施予定です。「キャリアタイム」とは、実際の仕事や社会で活躍する人との出会いを通して、子ども自身が生き方を探求する事業を本格的に行う授業です。

キャリア教育推進センターは、キャリア教育を行う学校と企業や団体などをつなぐ役割を担う予定です。

知識と経験が豊富なプロに任せる

キャリア教育

豊田工業大学 江口教授:
「画期的な試みだと思います。マッチングを最適かつ安定的に行っていくためには知識と経験が必要になります。そのため、プロに任せることは極めて合理的かつ効果的な発想だと思います。また、これまでは単発的に企業にお願いして都度交渉をする形が多かったと思います。しかし『キャリアタイムサポーター』と銘打って企業を募集し、計画的、継続的にサポートを期待できるような仕組みを作ることも、今回の試みの1つだと思います」

ドローンの操縦を体験

――子どものためとなる「キャリア教育」にするためには、どのような環境づくりが重要になりますか。

豊田工業大学 江口教授:
「せっかく仕組みをつくったので、中身を充実させてしっかり機能させていくことが大事だと思います。さまざまな仕事があり、多様な生き方が可能です。その中で『自分がどのように生きたいのか』を絶えず問いかけて、子どもたち自身に価値観をつくってもらうことが大事です。

自分の暮らしが実社会とつながっているという感覚がとても大切。このキャリア教育は、社会における自分の立ち位置や、自分の行為の意味を考える機会になると思います」

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