名古屋に超高級ホテル、続々と増える理由を解説「インバウンド需要や国際会議の誘致で経済効果に期待か」

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三菱UFJリサーチ&コンサルティングの本橋直樹さんに、超高級ホテルがなぜ必要なのか、話を聞きます。

日本全国で増えている高級ホテルの建設

高級ホテル

――愛知県に続々と高級ホテルができていますね。県内にはすでに高級ホテルはありますが、なぜ建設されるでしょうか。

理由は大きく2つあります。

1つ目は、高級ホテルが次々と建設される状況は、東京都や大阪府はもちろん、北海道や福岡県など国内の主要都市でも起こっています。これはいずれも、全国的に新型コロナから復活しつつある中で、インバウンドを取り込むことが考えられます。

さらに、コロナ禍以前から計画されていたものが完成しつつあるので、名古屋市だけでなく、日本全国で起こっている傾向だと認識しています。そのため、愛知県においても全国の流れに遅れをとるわけにはいかないので、このような流れになっているのではないかと思います。

2つ目は、高級ホテルのラインアップを増やすことです。すでにある高級ホテルよりもワンランク上の高級ホテルを建てることで、今まで以上に富裕層の方に来てもらうことや、国際会議をたくさん誘致したいというような思惑も強く働いていると思います。

――愛知県はほかの主要都市よりも高級ホテルの誘致という面では劣ってしまっていた現状があったので、このようなかたちになったのでしょうか。

数で示すことは難しくなりますが、名古屋市近辺の人たちの感覚としては、ほかの街に比べると少し足りなかったのではないかと思っていて、この機会に増やそうと考えて「高級ホテル立地促進事業費補助金」の制度ができたのではないかと思います。

国際会議の誘致で経済効果を期待

テクニカル・ビジット

――我々市民からすると、泊まることも難しいホテルに対して税金を投入してまで作る必要があるのかと思いますが、メリットはあるのでしょうか。

普段の生活ではなかなか縁がないのでメリットを感じにくいかもしれません。ただ、広い視野で見ると実は大きく関係していると思います。

そもそも富裕層の方が泊まるだけで、食事や観光地域にかなりのお金を落としてくれることが期待されます。それ以上に、大きな国際会議を誘致できた場合、普通の観光客よりも人数が多く、かつ滞在期間も長いので地元の経済に対するインパクトは大きくなります。

また、大きな国際会議であればあるほど、愛知県や名古屋市の知名度がアップします。そして新しいビジネスやさまざまな機会を増やして、経済効果として地域の活力に返ってくると思います。

――一方で、国際会議は年に何十回あるわけではないかと思います。愛知県で開催できるかどうかも分かりませんが、ホテルの客室が埋まらないということにはならないのでしょうか。

これからホテルの方はもちろん、地域をあげて国際会議や、お客さんが来てくれるような工夫を考えていかなければいけないと思います。

例えば、愛知県はものづくりが非常に盛んな土地柄です。そこで「テクニカル・ビジット」といわれる言葉が使われることがあります。テクニカル・ビジットとは、工場の見学や商談目的で訪日することです。工場に行って、地域の先進的な技術を見学してもらい、それをきっかけに新しいビジネスの相談をしていくようなことも、新しいホテルを使っていけば、需要もどんどん生まれてくるのではないかと期待しています。最大限のメリットが出るように、工夫していければと思っています。

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