焼き肉店でモクモクの煙と思いきや水蒸気 秘密は水素ロースター 蒸し焼きのような効果で肉がジューシーに

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「無煙ロースター」を日本で初めて開発し、焼肉の煙の問題を解決した会社が名古屋にあります。その会社が、焼肉業界が抱える新たな問題の解決に乗り出しました。

東京で開催された「焼肉ビジネスフェア2026」 。会場でひときわ注目を集めていたのは、肉を焼く際に立ち上がる大量の「水蒸気」でした 。一見すると煙のようですが、その正体はガスでも炭でもなく、水素を使って肉を焼く世界初の「水素ロースター」です 。

脱酸素するには水素

この画期的なロースターを開発したのは、名古屋市名東区に拠点を置く業務用厨房機器メーカーの「シンポ」です 。同社は無煙ロースターを日本で初めて開発し、現在も国内シェア7割超を誇るトップメーカーです 。

今や焼肉店に欠かせない無煙ロースターですが、安藤紀彦社長は業界が直面している課題を指摘します。

「焼き物はガスを燃焼します。ガスは化石燃料からつくられているため、燃焼するとCO2が出ます。地球温暖化に対応するべき」

シンポが焼肉業界の脱炭素問題を解決するために出した答えが水素でした。水素はプロパンガスなど化石燃料と違い、燃やしても二酸化炭素を出さないからです。

水素で焼くメリット:外はカリカリ、中はジューシー

エリンギの比較実験

焼肉に水素を使うメリットは他にもあります。プロパンガスなどの化石燃料は燃やすと二酸化炭素に変わりますが、水素は燃やすと「水」に変わるという性質があります 。

担当者:
「蒸しながら高温で焼く。そうすると結果的に外側はカリカリで、水分が抜けないので中はジューシーという焼き上がりになります。水素は燃えると水ができるので」

実際に行われたエリンギの比較実験では、LPガスで焼いたものは水分が逃げて半分ほどに縮んだのに対し、水素で焼いたものは大きさがほとんど変わらず、割くと中から水分があふれ出すほどでした 。

普及への壁と将来への自信

シンポ 安藤紀彦社長

水素ロースターの開発は世界初。ただ、普及には課題もあります。

担当者:
「バーナーにガスを供給するための制御部品などが一つ一つ水素専用。まだ世に出回っておらず、入手が難しい」

また、燃料となる水素の確保もコストがかかります。本体価格も従来製品の約2.5倍になる見通しです。

焼肉店の関係者:
「興味はあるし、入れたい気持ちはあるけどあとはコスト次第」

しかし現在は脱炭素推進のための国からの補助も期待でき、安藤社長は普及に自信をのぞかせます。

安藤社長:
「「無煙ロースターを発売して40年以上たちますが、その時の思いと同じ。将来に役に立つ先駆けとして、トップメーカーとして、この水素式無煙ロースターを作り上げた。必ず将来役に立つ機器と自信を持って言えます」

日経記者の視点(日本経済新聞社名古屋支社 竜田 菜米子 記者)
「海外の研究機関の調査によりますと、世界中で排出される温室効果ガスの3分の1は『食』に関係していると言われています。将来起こりうるリスクを見越して、いち早く新しい技術の開発に乗り出す姿勢が必要だと安藤社長は話しています」

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