町工場にアート作品を 照明器具の製造会社が現代アーティストとタッグ 社員の「アート思考」養う

地域 くらし・生活 友だち追加

大阪府東大阪市は町工場の数が5000を超える、“モノづくりの町”。その1つである株式会社盛光SCMは、照明器具を作る会社です。金属板をヘラ1本で成形する「ヘラ絞り」で高い技術を誇ります。

町工場にアート作品が出現

ある日の朝礼――。

盛光SCM 草場 寛子社長:
「東大阪の町工場は、4年で432軒つぶれています。これが現状です。下請けではなくスポットが当たって、自律成長していく町を作りたい」

そんな町工場に、アート作品が出現しました。

松岡裕喜さん

このアート作品を制作したのは、松岡裕喜さんです。海外でも活躍する現代アーティストの1人である松岡さん。会社のビジョンを示すべく町工場に滞在しながら、2カ月かけてアート作品を制作しました。

自社ブランドを収益の柱にしたい

照明や工作キットを開発

一方、盛光SCMは受注生産の先細りに不安を感じ、自社ブランドとして、金属加工の技術をいかした照明や工作キットを開発。収益の柱にしたいと考えていました。

草場社長:
「“欲しい”と思ってもらえるような商品の企画、あるいはデザイン、ブランドメーカーがやってくれていたことが、町工場でもできるようにならないといけない」

そこで今回、目をつけたのがアートでした。

“良いものを安く”と対極にあるアート

日本経済新聞 高橋圭介 東大阪支局長:
「日本のモノづくりは、“良いものを安く”という精神で成長してきました。しかしそれが今、限界にきています。アートは、これと対極にあると思います。おそらく原価は数千円でしょう。これが作品になったときに、何千万円という価値を生み出すわけです。この対極にあるアートを製造現場に持ち込むことで、そこから何か本当に新しい製品が生まれてくるかもしれません」

異分子をぶつけることで固定観念が崩れ去る

アイデアブルワークス代表取締役 寺本大修さん

盛光SCMと松岡さんを仲介した、プロジェクトの仕掛け人に狙いを聞きました。

アイデアブルワークス代表取締役 寺本大修さん:
「アーティストが入って来るとか、ミュージシャンが入って来るとか。異分子をぶつけられたときに固定観念が崩れ去ります。『正解が分からない』という状態に一度追いやらないと、新しい創発は生まれません」

おすすめの記事

おすすめの記事

アクセスランキング

アクセスランキング

ページトップへページトップへ