病院の後継者不足 実家の病院継がず勤務医に 解決の糸口は「開業したい第三者に承継」専門家に聞く

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医療機関の休廃業について、年間50件以上の医療機関の相談に乗っている名南M&Aの堀敬太さんに詳しく話を聞きます。

人材の確保や建築コストの高騰が痛手に

医療機関の代表者年齢 構成比

――町の病院や診療所の後継者が不在とのことですが、なぜでしょうか。

子どもが医者であっても、昨今の経営環境の厳しさが影響していると思います。例えば働き手の確保が難しかったり診療報酬の改定だったりが挙げられます。

さらに近年は建築コストが高騰しています。病院の建て替えに金融機関から多額の借り入れをしないといけなくなった場合に、子どもに借り入れを残して良いのか、苦悩する院長の声が非常に多いです。

――子どもが医者でも病院を継がずに閉院することも多いのですね。

ただ最近の医師会の調査で、第三者へ承継するという形が増加傾向にあることが明らかになっています。従来は知人や医師会を通じて承継相手を探すことが一般的でした。近年はインターネットを経由して、自ら承継相手を探したり、開業したいという意欲のある先生が積極的に探したりといったケースも非常に増えています。

実際に譲渡する側は、自身がこれまで診てきた患者に今後も医療サービスを提供できます。譲り受ける側は経験を積んだ職員に残ってもらえるほか、施設や設備を引き続き利用して開業できるので大きなメリットといえます。

医療機関の譲渡をする側、される側のマッチングが難しい

――町の医療を守る、開業したいという若い人たちも、一から作るのではなく土台がある上で始められるのはメリットだと感じます。一方で課題はどんなことが挙げられますか。

譲渡をする側と譲渡される側をマッチングさせることが非常に難しいです。また、双方に年齢差があるので、治療方針や患者に対する向き合い方などの価値観が一致せず、事業の承継がうまくいかなかったケースもあります。

近年は医師会からマッチングの機会の創出と、外部の専門家が連携して承継の支援をしていく制度化について提言されています。こうした相談窓口体制の整備や、マッチング期間の短縮化を図ることが今後の課題だと考えています。

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