コロナワクチン接種後に死亡「救命できた可能性否定できず」 事故調査委員会が報告書を公表 愛知・愛西市

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愛知県愛西市の集団接種会場で新型コロナのワクチン接種後に女性が死亡した問題で、外部の有識者による事故調査委員会は9月26日、早期に治療薬となるアドレナリンが投与されていれば「救命できた可能性は否定できない」などとする調査結果を公表しました。

2022年11月、愛西市の集団接種会場で新型コロナの4回目のワクチンを接種した飯岡綾乃さん(42)が、経過観察中に体調が急変し、搬送先の病院で死亡しました。

死因について調査委員会は、接種後の数分後にせきや息苦しさなどを訴えたことなどから、「アナフィラキシーが関与していた可能性が高い」と判断しました。ただ、今回の事案ではアナフィラキシーの治療薬であるアドレナリンの投与は行われていません。

報告書によりますと、飯岡さんが呼吸困難などの体調不良を訴えたとき、対応した看護師は接種と関連のない体調不良だと判断しました。また、別の看護師はアナフィラキシーを疑い、アドレナリン投与の準備までを行いましたが、自主的に投与は行わず、医師の判断を待ったということです。最終的には医師が典型的な症状がみられなかったことなどからアナフィラキシーの可能性は低いと判断しました。

調査委員会は、接種後に容態が急変した場合は、アナフィラキシーを考慮し迅速に対応することが求められるとして、今回の事例に関して「アドレナリンが迅速に投与されなかったことは標準的な診療とはいえない」と判断しました。

また、アドレナリンが投与されていた際の生存確率については、短時間で進行した重篤例であるため、救命できなかった可能性もあるとしつつも、早い段階で投与されていれば「究明で来た可能性を否定できない」としています。

さらに、患者の容態が急変した際の対応について医師や看護師が事前に打ち合わせをしていなかったことなども指摘し、改良の余地があるとしました。

調査委員会は、再発防止策として、全国の自治体に向けアナフィラキシーへの対応方法の確認や訓練を行うことなどを提言しています。

調査委員会の報告を受け、愛西市の日永貴章市長は会見を開き、「接種を実施した市も責任がある。報告書の内容を真摯に受け止め、今後の体制構築や再発防止に努めたい」と話しました。遺族への今後の対応については明言しませんでした。

遺族「気付いてくれたらまだ生きているかも」  

亡くなった綾乃さんの夫・英治さんは、調査結果について、「接種会場にはアナフィラキシーを疑った人もいたのに、なぜ医師や看護師は気付けなかったのか。気付いてくれていたらまだ生きてるかもしれない。それが悔しくて残念」と涙をにじませながら語りました。

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