「性被害は学校以外で起こることも多い」性犯罪専門の弁護士が指摘 日本版DBSの内容を不安視

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子どもたちを性犯罪から守るために創設へ議論が進む「日本版DBS」。性犯罪被害を専門とする弁護士の川本瑞紀さんに話を聞くと、課題が見えてきました。

対象事業者が限定されすぎ

川本瑞紀弁護士

川本瑞紀弁護士:
「子どもに関して性暴力を繰り返している人で前科がある人はほんの一握りです。それを誰も知らずに野放しにしている状態は一番悔しいこと。アクセスできるようになるのはすごいことだと思います」

川本さんの話によると、創設が進められる日本版DBSについて2つの問題点があると指摘します。

1. 対象事業者が限定されすぎている

現在の案では学校や保育所以外の学習塾や学童保育、スポーツクラブなどは性犯罪履歴の照会が「任意」とされています。しかし、これまで川本さんのもとに寄せられた性被害の相談の中には、学習塾など学校以外の場所で発生したケースが非常に多いといいます。

川本弁護士:
「(学習塾の)授業などで教えている内容への質問、あるいは声掛けで1人残すのです。“お疲れのマッサージ”から始めて、小学生ぐらいだと膝の上に座らせることもあります。

高校生になると『一生懸命やっていて、かわいいね』から始まり、髪や首、頬を触ってキスをする。あるいは帰りを送るようになります。そして自分の家に連れていき、自室で『この子を教えるから』と言って家族がいても部屋でわいせつ行為をすることがあります。そこまでの行為になると、子どもは言えなくなってしまう。『この人に教えてもらえなくなったら、勉強が分からなくなるから言えない』という状況になるのです。また、画像を撮られてしまい口止めされるときもあります」

性被害が学校など以外の場所でも多発していることから、川本さんは性犯罪履歴の照会の義務化の対象を広げるべきと話します。

前歴だけある人はかなりいる可能性

「日本版DBS」照会の対象

2.前科だけでは狭い

川本弁護士:
「(対象が)前科だけでは狭すぎます。児童福祉法違反などで示談して、前歴だけある人は感覚的にはかなりいると思います」

日本版DBSで性犯罪歴が照会の対象となるのは、有罪判決を受けた前科に限られます。起訴猶予や行政処分については除外される方針です。さらに都道府県ごとに定められている条例違反の経歴があったとしても、現段階では照会の対象に含まれません。

川本弁護士:
「イギリスのDBSは大根を輪切りにした、みっちり詰まったような感じがします。今回の日本版DBSはレンコン、穴だらけです。条例違反が対象となればレンコンの1/3ぐらいは埋まると思います。しっかりと前科だけでも全うできるように、名字が変わっても追えるようにしないといけないと思います」

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