少年野球人口の減少、保護者「当番制」負担に 時代に合わせたチーム運営がカギ

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小学生の軟式野球人口は、2012年に27万8000人ほどいましたが、2022年は17万人と約10万人減少しています。

少年野球を含め年間数十試合を取材している、学童野球メディア「フィールドフォース」編集長の大久保克哉さんに話を聞きます。

少年野球の人口が減っている理由

【小学生(学童)軟式野球人口減少の理由】
・保護者の負担
・野球道具の価格高騰
・競技の多様化 など

――実際に現場で取材していて、このような意見はよく聞かれますか。

まさしく、この3つの要素が現場で多く聞きます。

――保護者の皆さんの負担は、具体的にどのような状況なのでしょうか。

小学生の野球は土日祝日、朝から夕方まで行っているチームが多いと思います。その中で指導者や選手たちに飲み物を提供するお茶当番や、怪我などに対応するため見守り当番といった保護者の皆さんで行う当番制が野球界にはあります。これを行うことによって、親も土日祝日がつぶれてしまいます。チームに入ると、明らかに自分の時間がなくなってしまうというのが現状です。

――野球道具の高騰化も保護者の皆さんを苦しめそうですね。

まずチームに入ると、グラブ、バット、スパイク、それぞれ大体1万円はします。加えて、チームのユニフォームも必要になります。ボールがよく飛ぶバットは少年用で大体3万5000円。大人用で4万5000円はします。

指導者の意識の差

――保護者の負担や野球道具の価格高騰のハードルを越えた上で、なお活躍しているチームの特徴を教えてください。

全国大会に出場するような強いチームは、飛ぶバットを使っていることが多いです。また、昔のように土日祝日は丸一日練習をするのではなく半日練習で全国大会の常連になっているチームもあります。

愛知県から全国大会に出場するチームの中には親の当番制も一切なく、指導者も『自分の飲み物は自分で持って行きます』という形で、保護者の皆さんに負担をかけないチームもあります。

――それぞれのチームの違いは何でしょうか。

決定的に違うのは「指導者の意識」の部分になります。野球界は伝統があって、現在の指導者は幼少期や学生時代に実績を残してきた方が多いと思います。そのため当時自分がしてきたことを、今も行っている指導者がいます。

一方で、自分がやってきたから今もやるという短絡的なことではなく、現在の子どもたちに必要なルールは何か、という視点で考えるチームもいます。道具や当番制だけではなく、練習のやり方やチーム運営のあり方も現代に沿ったことを考えて行うチームも増えてきています。

――これまでの少年野球のあり方を指導者側がどう考え直すのか。野球人口の減少に歯止めをかけるための第一歩になりそうですね。

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