進むウナギの完全養殖研究 高騰続く「ウナギ」の救世主となるのか 鍵は餌の開発

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ウナギの完全養殖を目指して研究している新日本科学の松本敏さんに話を聞きます。

ウナギの養殖の工程

【ウナギを人工的に育てる工程】
1. 親ウナギを成熟させて受精卵、仔魚(レプトセファルス)を得る
2. ふ化した仔魚を、稚魚であるシラスウナギまで育てる
3. シラスウナギを親ウナギまで育てる

――この工程で難しい点について教えてください。

特に仔魚のレプトセファルスからシラスウナギまで育てる際の生残率がかなり低く、壁になっています。

――具体的にはどれくらいの数しか生き残れないのでしょうか。

我々が始めた頃、シラスウナギは1%にも満たない生残率でした。

――それが研究によって、その壁を乗り越えられるのでしょうか。

これまでは新しい餌を中心に研究開発を行っています。レプトセファルスがふ化して6日目あたりから餌を与えますが、シラスウナギに変わるサイズまで育てた場合、直近では生残率が30%くらいになってきました。

――これまで1%未満だった生残率が、30%程度になったのですね。

大きな進歩だと考えています。

――ウナギの完全養殖の鍵は、餌にあるそうですね。

我々が研究してきたのは新しい餌の開発です。ウナギの生態は最近になるまであまり分かっていませんでした。そのため、いちから餌を開発することになりました。

――どのようなものを与えた結果、生き残るようになったのでしょうか。

現状は中身は公開できる状況にはありません。実際の市場に人工シラスウナギを出したいと思っているので、そのためには大量に生産する必要があります。餌の改良を行い、スケールアップに取り組んでいくことが今後の課題になります。

――完全養殖ができるようになると、さまざまなメリットがありそうですね。

現状、ニホンウナギは絶滅危惧になっています。海で資源が枯渇しているので、完全養殖ができるようになると、環境への負荷が小さくなります。また、シラスウナギの価格がしばらく高止まりしている状況です。人工的に大量に生産できるようになれば、価格を抑えて安定的に出荷できるのではないかと思っています。

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