福島第一原発の処理水 放射性物質「トリチウム」を福島大学准教授が解説 地元住民への丁寧な説明が必要に

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福島第一原発の「処理水」とは、放射性物質によって汚染された水を浄化処理したもののことをいいます。敷地内のタンクに保管された汚染水は、2024年には満杯になってしまいます。そこで政府は、汚染水を処理した「処理水」を、海に流すという対策に乗り出しました。

汚染水の処理には、さまざまな工程を経て有害物質が取り除かれていきます。しかし、今の科学技術では、最後にトリチウムという物質が残ってしまいます。

このトリチウムとはどのような物質なのか。そして環境や人体に影響はあるのか。福島大学環境放射能研究所准教授で、放射能による現地への影響を調べている高田兵衛さんに話を聞きます。(※高ははしごだか)

人体にも含まれる「トリチウム」

トリチウムとは

――トリチウムとはどのような物質ですか。

トリチウムとは、水素の仲間です。ただ、その性質は全く水素と同じですが、弱い放射線を出すというのがトリチウムの特徴です。水道水や雨水、河川にもトリチウムは含まれています。

――人体に影響はあるものでしょうか。

今の濃度レベルでは、私たちの体の中にもトリチウムは含まれているので、影響は非常に低いとされています。

――海水にはどれくらいのトリチウムの濃度が含まれていますか。

海水に含まれているトリチウムは、1リットルあたり大体0.1ベクレルという数字になっています。これは、水道水などに含まれている濃度よりも10分の1ほど低い数値です。

――福島で処理水が放出されると、その近海の濃度はどれくらいになってしまうのですか。

東京電力の報告書をもとに、大体どれくらいの濃度になるのか想定した数値があります。非常に原子力発電所の近い場所では、最大でも1リットルあたり1から2ベクレルになると想定されています。

――先ほどの1リットルあたり0.1ベクレルと比べると、10倍から20倍という数字になってしまいますが、環境や人体への影響はありますか。

この1から2ベクレルという数値は、実は水道水や雨水の濃度レベルと同じか、少し高いぐらいになります。あくまでも、数値で計算すると人体の影響というものはかなり低いと想定されています。

私は海の放射性物質の動きを専門にしているので、魚へ移行した場合にもそういった放射性物質による影響はかなり薄まるのではないかと考えています。

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