「ゴッホがしゃべった」、AI動画が実用化 勢いに乗る中国IT企業 スタートアップの聖地、深センで躍進
今や世界中で使われている動画投稿アプリ「TikTok」。中国のスタートアップ企業「バイトダンス」が運営しています。バイトダンスは「世界のユニコーン企業ランキング」でアメリカの「スペースエックス」を大きく突き放して世界1位になりました。躍進を遂げる中国のスタートアップ企業。その裏側に迫ります。
深セン市のスタートアップ企業「ライピック」へ
中国広東省にある深セン市は、ITを中心としたスタートアップ企業が数多く生まれ育つ街。いわば、スタートアップの聖地です。その聖地に本社を置く、2015年設立の企業「ライピック」を取材しました。
1枚の絵や写真から作られたAI動画
ライピックは1枚の静止画から「AI動画」を作ることができるアプリなどを開発するスタートアップ企業です。社屋には、しゃべるゴッホの肖像画や、モナリザ、フェルメールの絵画も飾られています。これらも1枚の絵や写真から作られた「AI動画」です。
記者がAI動画を体験しました。写真を撮影し音声を収録して待つこと約1分。
記者の写真が動き出しました。閉じられていたはずの口が動き、まばたきもしています。ライピックが手掛けたAI動画のサービスは現在、世界中で利用されています。中東のテレビ局ではライピックのサービスを使って作られたAI動画を使用した番組も放送されているのです。
珠海市の企業は「AIカメラ」を開発
次に取材班が向かったのは、広東省・珠海市のスタートアップ企業「4DAGE」。4DAGEは、撮影した写真を3Dモデル化する「AIカメラ」を開発しました。AIカメラは現在、日本やアメリカ、フランスなど世界16カ国で販売。主に行政の都市開発や住宅メーカーが、「家を見える化」するときなどに活用されています。
AIカメラが実際の火災現場で活躍
AIカメラは実際に中国で発生した火災現場で使用されました。注目なのが画質と精度。現場ではAIカメラが自動で360度回転。高解像度の16Kで撮影します。
3Dモデル化されたAIカメラのデータの一部分をクリックすると、細部まで見ることができます。中国では、火災の現場検証の場でも、AIカメラが利用されているということです。
ライピックや4DAGEなど、さまざまなスタートアップ企業の躍進が続く中国。3月末時点の「世界のユニコーン企業数」では、日本が6社であるのに対し、中国は169社。中国はアメリカに次いで世界2位となっています。中国のスタートアップ企業はさらなる進化を遂げることが見込まれます。