スパイ容疑で中国に6年間拘束された日本人男性 帰国1年後に面会求める外務省に「国会対策か」と疑念
身に覚えのないスパイ容疑をかけられ、中国に6年間拘束された鈴木英司(すずき・ひでじ)さん。日中青年交流協会の理事長を務めていた2016年7月、中国・北京首都国際空港で突然、身柄を拘束されたのだ。中国での地獄のような6年間の日々について独自取材。また、帰国から1年経って連絡してきた外務省との面会にも密着した。
人権なき「居住監視」 大使館の面会では「心ない言葉」に傷つく
最も辛かったのは「居住監視」という名の監禁生活だった。寝るときやトイレ、シャワーは24時間監視下に置かれた。不安のさ中にいるのに、大使館員の面会は居住監視の7カ月間でわずか3回だけ。伝言を頼んだときも、心ない言葉を返されたことが忘れられない。外務省への失望。国は本気で救出に動いたのか、疑念が今もくすぶり続ける。
2022年10月に帰国後、壮絶な体験を著書や講演で伝えてきた鈴木さん。外務省から面会したいとの連絡が入ったのは、帰国から1年近くもたってからだった。
――帰国から1年近くも経って面会を求めてきた外務省をどう思う?
鈴木:
「わたしは大変失礼な話だと思っています。今まで電話の1本もなかったわけですから。今頃になってなぜか? 私はまず、これを聞こうと思っています」
9月5日、外務省で面会を終えた鈴木さんに話を聞いた。
――約1時間半の面会でまず何を話した?
鈴木:
「なぜ今頃になって私に連絡したんですか? と聞いた。すると『我々としてもお会いしたかったんですが、色々あって今になってしまいました。色々お聞きして今後の参考にしたい』と言うだけ。彼らから明確な答えはなかった」
――現地の大使館の対応について不満は伝えた?
鈴木:
「私が中国にいる間の問題、面会の問題、弁護士の問題、大使館の私に対する対応について全て話して、批判もした。領事部長が私に大変なことを言った話とか、言づけが全く届いてなかった話とか」
――それに対して謝罪は?
鈴木:
「ないない! それは、こうだからとか正論を言ってきた。でも、本来届けることができないと最初から言ってもらう方がよっぽどよかった」