「日本企業は相対的に安い」 豊田自動織機TOBをめぐる攻防で見えた日本の「弱さ」とは
3月24日、トヨタグループが実施した豊田自動織機のTOBが成立したと発表されました。
成立が発表された豊田自動織機のTOB。トヨタグループが株式の非公開化により、長期的な視点でグループ全体の成長を目指すために実施していました。買収総額は5.9兆円で、日本企業同士の買収案件では過去最大となりました。豊田自動織機は、5月中旬に開かれる臨時の株主総会を経て、6月頃に株式を非公開化する予定です。
トヨタグループ VS 物言う株主
このTOBをめぐっては、トヨタグループとアクティビスト=物言う株主との攻防がありました。
トヨタグループは2025年6月、1株1万6300円でTOBを始めると発表。この価格に対し、アメリカの投資ファンド・エリオットは「企業価値を著しく過小評価している。グループ内で株を持ち合いプロセスの透明性を欠いてガバナンス上も問題がある」と見解を表明。株を買い増して影響力を強めました。
これを受けてトヨタグループは2026年1月、特別委員会から「本源的な価値を適切に反映した価格」との答申を経て1株1万8800円に引き上げてTOBを始めました。エリオットはこの価格も、「著しく過小評価している」として反対を表明。さらに株を買い増したほか、ほかの株主に対し、TOBに応募しないよう呼びかけました。
結果的に必要な株主の応募が集まらず、トヨタグループは3月、TOB価格を2万600円まで引き上げることに。2度の価格引き上げでエリオットとの合意に至り、トヨタグループは必要数を上回る応募を集めました。この結果TOBにかかる費用の総額は、当初の3兆7千億円から4兆6000億円に膨れ上がりました。
「株主は基本的には短期的な利益の追求」専門家
TOB価格をめぐる物言う株主との攻防について、専門家は次のように話します。
早稲田大学大学院経営管理研究科 長内厚教授:
「やっぱり短期的な利益と長期的な利益の衝突っていうところが一番大きいことだと思うんですね。アクティビスト含めて、株主は基本的には短期的な利益の追求というのが第一次的に行われるものだと思います。一方で、日本企業の強さでもあると思うが、長期的な視点での経営というのを志向するというところがあって、そことの利害が衝突したとみています」
エリオット側が問題視していた点について長内教授は次のように分析します。
早稲田大学大学院経営管理研究科 長内厚教授:
「エリオット側とすれば、TOB価格が安いという価格の問題も一つだが、もう一つは手続きの問題っていうのを指摘してたと思うんですね。その手続きが本当にトヨタの側というのがちゃんとしているのか。で、それに対して、その第三者の視点、あるいはその中でのそのプロセスの透明性みたいなものっていうのを、推し量っていたところがあり、それを踏めて二段階価格が上がってきて、ある程度時間をかけて二段階上がってきたっていうことに関しては、僕はあのエリオットからはプラスに評価されたんじゃないかなというふうに思ってます」












