豊作や商売繁盛を願う縁起物 愛知県一宮市に伝わる伝統の「起土人形」 作り手は99歳

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愛知県一宮市で江戸時代から作られている「起土人形(おこしつちにんぎょう)」があります。代々受け継がれてきたこの人形づくりですが、今や作り手は御年99歳の中島一子(なかしま・かずこ)さん、ただ1人です。

そんな人形づくりに励む一子さんに11月、うれしい知らせが届きました。中島家が手掛けた起土人形をもとに描かれた1枚の絵が、来年2026年の年賀切手の図案に選ばれたのです。

76年間「起土人形」を手掛ける

起土人形

一宮市につたわる起土人形とは、土を型に詰めて焼き上げ、鮮やかに色をつけたもの。一子さんは人生の大半の時間を、この起土人形の制作にささげてきました。

中島一子さん:
「23歳からなんで、何年になります?」

一宮市尾西歴史民俗資料館

その歩みをたどることができる施設が、一宮市の歴史資料館にあります。館内の一角に中島家が代々使ってきた人形の型や道具が並べられています。今から約200年前に、中島佐右衛門(なかしまさえもん)という農家の男性が作り始めて以来、作物の豊作や商売繁盛を願う縁起物などとして親しまれてきました。

牛若丸の起土人形

京都・五条大橋で武蔵坊弁慶と戦う、牛若丸の人形も。この人形を作ったのは、一子さんの夫、中島一夫(なかしま・かずお)さんです。起土人形は、中島家で代々受け継いできた家業でもありました。

23歳で中島家に嫁いだ一子さんにも、人形づくり仕事が託されました。

「お父さんのようにはできませんわ」

「3代目のおじいさんから勉強した」と話す一子さん

一子さん:
「3代目のおじいさんから(起土人形の作り方を)勉強したんですわ。ここの家に嫁いだら、ここの家業を継いでくれって言われてね」

それからは、夫・一夫さんと並んで、起土人形を作り続けてきました。

夫の中島一夫さん

一子さん:
「(3代目から)教えられたように、やり続けている。お父さん(一夫さん)のようにはできませんわ。色塗りからね、模様から。なかなかできません」

20年前に一夫さんが亡くなってからも、一子さんは1日2時間、人形づくりを続けています。

「私で終わりだと思う」と一子さん

一子さん:
「みんなね、やりたいって見えるんですけどね、覚えられんって。うちの息子さえやれんもんでね(笑)。やっぱり、私で終わりだと思う」

年賀切手の図案になった、中島家の起土人形

年賀切手の図案に採用された

代々伝統ある人形づくりを受け継いできましたが、今は一子さん1人だけになりました。

そんな制作に励んでいるさなかにうれしい知らせが。中島家が手掛けた起土人形をもとに描かれた1枚の絵が、来年2026年の年賀切手の図案に選ばれたのです。

「ご先祖さまに感謝」と話す

一子さん:
「こんな年寄りが続けたことを持ち出して、世間に広げてくれることは、本当にありがたいこと。ご先祖様が残してくれたもんで、私がね、私が続けてやったもんで、ご先祖さまに感謝ですわ」

いつか自分の代で終わってしまうかもしれない「起土人形」。それでも、一子さんは制作に打ち込みます。

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