お母さんとお腹の子を救え スタートアップが母子と産科医を遠隔でつなぐシステムを開発
少子化などを背景にした産婦人科の医師不足により、安全安心な出産環境の整備が課題になっています。そんな中、香川のスタートアップ企業が開発した、医師とお母さんとお腹の子をリアルタイムでつなぐシステムが、課題解決につながるのではと注目を集めています。
赤ちゃんの状況を把握
高松市内にある、助産所「ぼっこ助産院」。2022年9月、藤中ひろみさんはこの助産所に分娩に訪れましたが、急きょ、病院での緊急手術が必要になりました。
藤中ひろみさん:
「まさかでした。もう不安でしかなかったです」
医療水準が高いとされる日本ですが、年間約3000近くの胎児や新生児が出産前後に亡くなっています。当時お腹の赤ちゃんの心拍数低下が判明した藤中さんは、大学病院へ救急搬送。一方病院側は、帝王切開の準備を済ませた状態でスタンバイ。おかげで、母子ともに救われました。
藤中さん:
「ちゃんと『状況把握をしてくれている』のは非常に安心できることだと。もう本当にありがたいことだと思いました」
そのとき、病院側の「状況把握」や準備に役立ったのが、赤ちゃんの異変を察知する機械です。
助産師:
「赤ちゃん元気かどうか見ていきますね~」
妊婦のお腹に機械を取りつけました。母子のいまの状態を計測します。グラフが示すのは、胎児の心拍数と妊婦の陣痛の状態。2つの関係から、見た目では分からない赤ちゃんの異変を察知します。しかもこれ、外部にネットワークでつながっています。
搬送先の病院とつながっている
ぼっこ助産院 院長 松尾真理さん:
「搬送先の(病院の)先生方にも見てもらえます。(病院の)先生からの指示を仰げます」
助産所では、異常が起きたときの医療行為はできません。そこで、搬送先の大学病院で搬送中や過去の診察時のデータを見られるようにしたのです。