今夏の“異常気象” 原因は偏西風の蛇行と海面水温の高さ 「毎年猛暑になる可能性も」と専門家は指摘

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記録的な暑さとなった今夏。名古屋市では2023年7月と8月は35度以上となった猛暑日が29回もありました。なぜこれほどの猛暑になったのか。名古屋大学宇宙地球環境研究所の篠田太郎准教授に話を聞きます。

暑さの理由

――2023年の夏は暑い日が続きましたね。

暑い日が長く続いたことで気象庁から異常気象の認定がされたと考えています。

――暑さの理由について、篠田さんに2つ挙げてもらいました。それぞれの理由について詳しく教えてください。

1. 偏西風の蛇行
2. 海面水温が高かった

偏西風はこの時期、日本の北側に位置していることが多いです。2023年は蛇行していて、日本全体が偏西風の南側に入ってしまいました。南側の領域は熱帯からの暖かい空気の領域になるので、偏西風が日本付近に停滞して、南側の領域にとどまってしまったことが2023年の夏、暑い日が続いた原因の1つであると考えています。

偏西風の蛇行はよく起こります。偏西風の位置が東西に動くことも多くあります。しかし2023年は停滞して、日本付近にかかっていたことが暑さの原因だと考えています。

異常気象が毎年起きる可能性も

海面の水温

――2つめの理由となる「海面水温が高かった」についても教えてください。

日本近海の海面水温は1991年から2020年までの水温の平均に比べて、2023年は非常に高いです。特に日本の東側や日本海で4度や5度以上に高い水温になっている状態が多くあります。暖かい空気は海に触れてできることが多いので、日本付近でも暖かい空気をつくる要素があったと思います。そのため海面水温が高いことによる暑い気候の原因になっています。

――(画像)日本列島の地図の周りに赤色があります。赤色が例年と比べて海面の水位が高いという状態を示していて、数字は例年と比較した温度差ですね。北海道のあたりは6度とかなり差がありますが、これだけ差が出るのは結構珍しいのでしょうか。

4度から6度の差があるのは異常な値です。気象庁の報告にもあった異常な値は、この海面水温が高かったことが大きな原因だと思います。普段は1度や2度などですが、大きな変動があるといえます。

海面水温が高い理由として色々調べると、“気候変動”の影響が大きいと書いてあるものが多いです。気候変動によって暖かくなり、暖かさを緩和する形で海の中に暖かい空気の熱が溶け込んでしまう。結果として海面水温が上昇して空気が暖められる、という気候変動のフィードバックが起こっていると考えられます。

――気候変動が起きること自体に、少し異常さが伴っているのでしょうか。

2023年に関しては気象庁から「異常だ」と発表されました。このような海の水温が高い状態が続くと、暑い年は3年に1回や4年に1回だったものが、2年に1回や毎年のように起きるという事態が起こっても不思議ではないと思います。

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