名古屋「エスカレーター歩行禁止」まであと2カ月 罰則無しで守られるのか

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名古屋市でエスカレーターに立ち止まって乗ることを義務付ける条例が2カ月後に施行されます。

バリアフリーに詳しく、名古屋をはじめ、各地でエスカレーターの利用状況を調査している筑波大学の水野智美准教授に話を聞きました。

データ

―――埼玉では同じような条例ができても、うまくいってない現状があるということですが、ご説明いただけますでしょうか。

埼玉県で条例が施行されて3ヶ月後には歩く人がかなり減りましたが、1年後にはまた元に戻ってしまっていました。埼玉県では立ち止まってくださいということは強調されていても、なぜ歩いてはいけないのかということがあまり強く言われていなかったため、結果的になぜ歩いてはいけないのかをなかなか理解できず、自分ぐらいはいいかとか今日ぐらいはいいかというように少しだけ歩く方が増え、結果的に元に戻ってしまったのではないかと思います。

―――名古屋で条例がどうなるのか気になりますが、実態調査のデータがあり、2019年ですが名古屋駅で平日の朝歩いてエスカレーター降りた人は9%。一方で、東京上野駅では58%の人が歩いて降りていったということです。ここから考えられるのは、名古屋という街ではあまりエスカレーターを歩いて下りないということかと思いますが、いかがでしょうか。

名古屋は元々あまりエスカレーターを歩く人が多くない状況です。東京だと、右側を空ける、関西では左側を空けるという片側空けが定着していますが、名古屋では右側に立つ人左側に立つ人がバラバラに立っているため、歩きにくい状況があり、結果的に歩く人が少ないというような状況が以前はありました。

ただ、最近は左側に立ち右側が空いている状況が作られているため、結果的に右側が歩きやすくなっている状況があります。

啓発

―――さらに最近では、もう少し歩く人が増えているという調査が行われているのでしょうか。

いま現在、調査をしていると、2019年のときよりも歩く人が増えているという結果が出ています。

―――その過程がある状況で、条例ができた場合うまくいきそうでしょうか。

条例を制定するだけでは難しいのではないかと思います。罰則があれば、日本人はそれを守ろうしますが、罰則を設けるのは色々難しい課題があり、うまくいきません。

そのため、啓発に力を入れることが必要だと思います。啓発の中でも、立ち止まれというだけではなく、なぜ立ち止まらなければいけないのかということをしっかりと伝えていくということが必要であると思います。

――――なぜ立ち止まらなければいけないのか改めて教えていただけますか。

エスカレーターを利用する方の中には、障害のある方や高齢者、また子供連れの方など様々な特性やニーズのある方がいらっしゃいます。その方たちが安全安心に利用するためには、立ち止まって利用したいという思いがあります。

例えば、視覚に障害のある方は歩いてらっしゃる方に杖を蹴られてしまう、盲導犬使用者が盲導犬を踏まれてしまう、また片麻痺で右側に立ちたいが右側の後ろから歩いてこられる方に文句を言われることがあり右側に立てない等があります。

そのような方々も安全に利用できる環境を作ることが非常に大切だと思います。

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