「アイスしか」の無力感から一念発起 老舗日本料理店主が提供を始めた美しき「嚥下食」
食べ物を飲み込む力が弱い人でも食べやすい食事「嚥下食」。愛知県清須市の日本料理店で嚥下食の提供が始まりました。
焼き目が入り、香ばしそうなウナギ。実はこちらペースト状になった嚥下食のひつまぶしです。嚥下食は加齢や疾患により飲み込む力が弱い嚥下障害がある人に向けてつくられた料理です。嚥下障害になると飲み込んだものが気管に入りやすくなり肺炎などの原因にもなるといわれています。
7月15日、清須市内の老舗・日本料理店「八百喜」で行われたのは、店主が手掛けた嚥下食の試食会です。実は16日からサワラや野菜、ひつまぶしなどを嚥下食で提供し始めたのです。その背景は。
店主・冨田真司さん:
「ランチで利用していた4~5人のグループ客の中の1人が、舌がんの手術を受けて飲み込みが弱く、アイスクリームしか食べられなかった。アイスクリームしか提供できないことに無力感があり、もやもやした感じがずっとしていた」
「外食の選択肢が少ない」「食べる楽しみを感じられない」嚥下食を必要な人が抱える課題を解決したい。冨田さんは、知り合いの料理人が店で嚥下食を提供していると知り自分の店でも始めようと決意しました。コンセプトは、“目からも楽しめる食事”です。
【嚥下食の調理】
ミキサーにかけたうなぎをゼリー状に。ペースト上にしたウナギをあたため形を整えます。冷やしてかためたものをあぶって元のうなぎの見た目に近づけていきます。
いよいよ試食会です。嚥下食を必要とする人や医療関係者が参加しました。こちらの男の子は疾患がありお腹にチューブがつながっています。飲み込む力が弱いものの、チューブから栄養をとるよりも食事の楽しみを感じられるため普段から嚥下食を食べています。
母親:
「見た目はびっくりしました。ウナギだ!という感じが。家でつくると全部混ざってトロトロのものになっているのが、こういうかたちで出てくるからこれ食べようか?あれ食べようか?と順番に食べられるのが嬉しい。おいしいね、ぺろりだね」
店主・冨田真司さん:
「うれしいです。こうやって喜んでもらえると全部報われる。全国に広めていきたい。喜ぶ顔を見たいです。
2025年の70歳以上の人口は約2900万人。このうち嚥下障害や、その予備軍とされる人は約700万人に上ると推測されています。「嚥下食でも食べる楽しみを感じてもらいたい」冨田さんのような取り組みは、今後広がりを見せそうです。
日本料理店「八百喜」の「喜」は異字体












